富田隆弥の【CHART CLUB】 「強い相場でも下値チェックを怠らず」

市況
2020年2月15日 10時00分

◆米国の企業業績は引き続き好調だ。S&P500採用企業で決算を発表済みの351社では、その70%が事前のアナリスト予想を上回っている。これが最高値を更新する堅調な米国市場の一因になっている。

◆それに対して日本企業の業績は冴えない。3月期決算の第3四半期累計(4-12月)業績が間もなく出揃うが、20年3月期は前期に比べ売上は0.6%減、経常利益が6.5%減(昨年11月時点5.0%減)と減収減益予想で、3月期通期見通しを修正した企業の数は「4対6」の割合で下方修正が勝っている。

◆米中貿易戦争と消費増税の影響が出ているのはいうまでもなく、さらに1-3月期に新型肺炎(新型コロナウイルス)の急襲が重なり、今期のさらなる下方修正は避けられまい。このような厳しい状況が日本株の上値を重くしている大きな要因だろう。

◆新型肺炎の感染拡大は間もなくピークアウトする。中国の工場も稼働を再開、サプライチェーンも回復し、来21年3月期は業績も株価も「回復期待が大」と、そのような証券会社のリポートが目立つ。そうなることを自分も願ってはいるが、ただ相場や業績を安易に楽観してよいかは疑問に思う。

◆パウエルFRB議長は11~12日の上下院議会で「新型コロナウイルスの問題は大きなリスク」と証言した。米国では新型肺炎の影響を「米国では軽微」と解説するものが目立つが、いまの世界経済は中国を無視することはできず、中国の混乱を「対岸の火事」と呑気に構えてはいられない。現在堅調な米国の業績もこの先影響を受けることは否めず、それが株式市場に及ぶ可能性もある。

NYダウは3万ドル、ナスダックは1万ポイントという大台目標に迫ってきた。世界的なカネ余りで米国株へのマネー流入が続き、日足チャートは25日移動平均線や下値抵抗線、一目均衡表の雲などにサポートされて強い上昇トレンドを描いている。ならば、目標の大台達成は時間の問題だろうし、米国株がそれを達成するのであれば日経平均株価も上値の節である2万4448円(18年10月)突破を目指すことになる。

◆ただし、マネーバブル相場が11年続き、 ナスダックの月足チャートは三段上げの仕上げ局面で、テクニカル指標は過熱信号を強めている。「PERや緩和政策などから見てバブルの兆しはない」と米国では楽観に片寄る兆候もみられる。このような時に表れた新型肺炎を侮るべきではないだろう。「流れに従う」のが基本ではあるが、「風雨強まる高値圏」では乱高下しやすく、引き続き日足チャートの下値抵抗線や25日移動平均線など下値ポイントを注視しながら対応していきたい。

(2月13日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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