来週の株式相場戦略=急激な円安進行の状況精査へ、当面は一進一退が継続も
今週の日経平均株価 は、前週に比べ300円(1.3%)安となった。新型肺炎 への懸念もあり、前半は軟調だったが、後半にかけやや盛り返した。そんななか、今週最も注目を集めたのは為替動向だった。1ドル=109円台での一進一退が続いていた為替は、19日から一気に円安に傾き、20日には昨年4月下旬以来、約10カ月ぶりに112円台に乗せた。
この円安に対する株式市場の反応は複雑だ。市場からは「日本の景気悪化を反映した悪い円安では」(アナリスト)との見方も出ている。円安のキッカケとなったのは、17日に発表された日本の10~12月実質国内総生産(GDP)が前期比年率で6.3%減と発表されたこととの見方がある。消費増税の影響で3%減が見込まれていたが、ふたを開ければ6%台のマイナス成長となった。足もとでは新型肺炎による景気への悪影響が予想されるなか、1~3月も景気悪化は免れそうもない。この国内景気悪化が円安をもたらしたともみられている。
ただ一方で、円安は米国景気の強さを反映したドル買いによる要素が大きいとの見方も少なくない。いずれにせよ当面は、為替相場に市場の関心は集まりそうだ。そんななか、株式市場では米国景気が日本の株式市場を支える構図は続くとみられる。日経平均株価は上値が重い状態にあるが、「下値を拾いたい投資家は少なくない」(市場関係者)という。国内景気の行方を精査する状況が続くなか、日経平均株価は下値を2万3000円、上値を2万4000円とするレンジ相場が予想される。
スケジュール面では日米ともに決算発表が一巡し、新型肺炎による影響が出てくる経済指標に注目が集まりそうだ。今晩発表の米2月製造業PMIや24日のドイツ2月IFO景況感指数、25日の米2月消費者信頼感指数、それに29日の中国製造業PMIなどに関心が集まりそうだ。
個別銘柄では、消費関連株は軟調な展開が予想される一方、富士通<6702>やNEC<6701>のような内需系IT関連株がどこまで相場をけん引できるかが焦点。新型肺炎による外出手控えを背景にバンダイナムコホールディングス<7832>やカプコン<9697>のようなゲーム関連株などが注目される可能性もある。(岡里英幸)