10-12月期【利益倍増】企業はこれだ!〔第1弾〕 29社選出 <成長株特集>

特集
2020年2月20日 19時40分

3月期決算企業の20年3月期第3四半期(4-12月)決算がほぼ出そろった。中国景気減速の影響が長引く製造業や消費税増税が逆風となった内需関連を中心に業績が落ち込む企業が多く、全体の経常利益は前年同期と比べ7.4%の減益となった。本特集では、このような逆風下で利益を大きく伸ばした企業にスポットライトを当てた。

今回は時価総額700億円以上の銘柄(銀行、電力・ガス、石油除く)を対象に、直近3ヵ月実績である10-12月期(第3四半期)の経常利益が前年同期比で倍増した29社をリストアップし、増益率の大きい順に並べた。下表では四半期ベースの「増益連続期数」、第3四半期(4-12月)経常利益の通期計画に対する進捗割合を表す「対通期進捗率」も併せて記した。

増益率トップとなったのは味の素 <2802> 。19年10-12月期(第3四半期)の税引き前利益は前年同期の4.1億円から278億円に急拡大して着地。海外食品事業で前年に計上したプロマシドール社の減損損失が大幅に減少したうえ、調味料・加工食品などの値上げ効果が利益を押し上げた。また、マーケティング費用の抑制や生産性の改善で国内食品事業の採算が改善したことも大幅増益につながった。

2位のプレサンスコーポレーション <3254> はワンルームマンションやファミリーマンションの引き渡し戸数が増加したうえ、一棟売り物件やホテルの販売も増勢だった。続く3位に入ったNEC <6701> の10-12月期は1月の「Windows7」サポート終了を前に法人向けパソコンの販売が伸びたほか、自治体向けITサービスなども好調だった。また、前期までに実施した構造改革効果とその費用がなくなったことも利益を大きく押し上げた。

4位のスクウェア・エニックス・ホールディングス <9684> は昨年9月にリリースして大ヒットした位置情報ゲーム「ドラゴンクエストウォーク」が収益を牽引した。また、「ドラゴンクエストX」の拡張パッケージ発売でオンラインゲームの課金会員が増加したほか、出版事業ではマンガアプリ「マンガUP!」や電子書籍などデジタル媒体の販売が好調だった。4-12月期の経常利益(279億円)がすでに通期計画の240億円を上回っており、業績上振れは濃厚とみられる。

6位にリスト入りしたトヨタ自動車 <7203> の10-12月期は、前期に計上した米国会計基準の改正に伴う株式評価損がなくなったことが利益拡大の要因となった。決算発表と併せて、世界販売台数の引き上げや円安進行による採算改善などを踏まえ、20年3月期の税引き前利益予想を従来の2兆6300億円から2兆9100億円に上方修正している。

7位のイビデン <4062> はパソコン需要の下げ止まりやICTの進展に伴うデータ処理量の増加を背景に、データセンター向けICパッケージ基板の引き合いが旺盛だった。また、不採算製品の生産縮小を進めたことで採算も改善し、10-12月期の経常利益は前年同期比4.6倍の64.1億円に膨らんだ。

8位にリストアップされたエーザイ <4523> の10-12月期は抗がん剤「レンビマ」が肝細胞がんへの適用拡大で米国を中心に販売が急増し、税引き前利益は420億円と四半期ベースの過去最高益を9年ぶりに塗り替えた。米国では子宮内膜がん適応の「キイトルーダ」との併用療法が承認取得後に計画を超える立ち上がりをみせている。

新型肺炎の感染拡大で全体相場が大きく揺れるなか、16位のアイ・アールジャパンホールディングス <6035> は絶好調な業績を背景に上場来高値圏を快走する展開を続けている。10-12月期は実質株主判明調査や議決権調査といった主力のSRコンサルティング業務に加え、投資銀行業務で大型プロジェクトの受託が増加し、経常利益は前年同期比3.1倍の8.4億円と高変化を遂げた。業績好調に伴い、今期3度目となる通期計画の上方修正に踏み切っている。

┌ 経常利益 ┐  増益  対通期 予想

コード 銘柄名    増益率 10-12月期 連続期数 進捗率  PER

<2802> 味の素     6669   27888    1    -  60.5

<3254> プレサンス    812    7876    2   99.5  3.8

<6701> NEC      597   32719    4    -  19.1

<9684> スクエニHD   545   12386    2   117 35.2

<9468> カドカワ     446    2386    3   85.1 10.6

<7203> トヨタ      427   932294    3   86.5  9.2

<4062> イビデン     362    6412    1   87.6 42.5

<4523> エーザイ     329   42059    1   67.7 25.3

<5706> 三井金      309    6686    1   83.2 33.4

<9101> 郵船       298   22467    4   96.2 10.2

<8595> JAFCO    292   14973    1    -   -

<3863> 日本紙      259    5030    2   72.8 15.3

<7222> 日産車体     253    4502    2   91.0 31.6

<4041> 日曹達      214    1622    2   49.1 16.5

<9715> トランスコス   212    3341    4    -   -

<6035> IRジャパン   207    844    1   72.1 60.2

<8153> モスフード    200    333    2   72.7 92.1

<4708> りらいあ     184    3209    4   82.8 17.8

<5440> 共英製鋼     169    5196    8   83.2 10.2

<1893> 五洋建      158    8597    4   82.4  8.5

<6967> 新光電工     155    1743    1   67.7  613

<9409> テレ朝HD    134   21585    1   93.2  8.1

<6804> ホシデン     134    4874    1   91.4  7.5

<5713> 住友鉱      131   31108    1   97.8 15.9

<4023> クレハ      129   15727    5   90.8  5.3

<3941> レンゴー     122   14142    3   84.8  7.2

<1911> 住友林      111   17381    1   70.6 10.1

<8131> ミツウロコG   105    1969    5   85.2 20.2

<5857> アサヒHD    103    4845    2   72.3 11.3

※経常利益の単位は百万円。増益率は前年同期に比べた増加率、単位は%。連続期数は四半期ベースの連続回数。対通期進捗率は経常利益の通期計画に対する4-12月期の進捗割合、単位は%。

※「-」:通期の経常利益もしくは最終利益が非開示のため、算出していません。

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