明日の株式相場戦略=陰の極で勝つための考え方

市況
2020年2月26日 17時29分

相場の怖いところを一つ挙げるとすれば、それはひとたび信用収縮が起こると、ダムが決壊するように加速的な資金流出が始まるということ。強靭な信用という名の堤(つつみ)でも、いったん小さな穴が開くと負のスパイラルが発生し、結果、堰を切るように相場は崩れる。今回の新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大は、そのケースに該当する。当初は過去の経験則から株価への影響は局地的及び限定的なものになるだろうとの読みが働いたが、それは甘かったということになる。

26日の日経平均株価は続落し、一時480円近い下落をみせた。アルゴリズムの先物売りに引きずられたことは確かだが、それに買いポジションをたたむ実需の売りも乗せられていたことは否めない。後半は突っ込み警戒感からのショートカバーで下げ渋り、日経平均は180円程度の下落で着地したが、個人投資家の体感温度はこれよりかなり低いと思われる。一連の新型コロナ関連株が総花的に急落したのをはじめ中小型材料株の下げがきつい。強い株につくというセオリーもほんの一握りの銘柄にとどまり、先駆銘柄に対してドラスチックに売りが浴びせられている。

きょうは全面安商状とはならなかったものの東証1部の騰落レシオ64.2%まで低下した。振り子が極端に悲観に振れている状態を指し示しており、いわゆる陰の極。目先リバウンドのタイミングが近いことを暗示している。しかし、リバウンド局面では回転売買で利益を絡め取るような感覚で対処するのが基本戦略だ。当面は戻り売りの呪縛によって押し戻され、持続的に下値を切り上げるようなトレンドは見込みにくい。新型コロナの感染拡大ペースは発生元の中国では鈍化しているとはいえ、感染拡大に対する恐怖の目線が中国から日本国内に移ってきていることから、話は簡単ではない。

中国では政府当局と人民銀行が足並みを揃え景気対策のカードを切った。まず、中小企業を対象とした減税、そして低金利の融資を行うほか、人民銀は0.25%の金利引き下げと日本円にして約7兆8500億円相当の資金供給を行う。これが奏功して上海株市場は底堅い動きとなったが、東京市場へのプラス効果は限定的だった。

一方、新丸ビルで新型コロナの感染者が確認されたとの報道は、都心での市中感染を実感させる話であり、これを氷山の一角と考えた場合それなりのインパクトがある。悲観を煽るつもりは毛頭ないが、こうしたニュースが出ることで、企業活動を停滞させ消費マインドも冷やすことは自明。そのさなかに、株式市場で敢然と買い向かうのは蛮勇となる可能性が高い。「人の行く裏に道あり花の山」は最も有名といってもよい相場格言だが、実際のところ、花が咲き誇る裏街道を一人堪能できるほど相場は都合よくできていない。現段階では、リバウンド狙いなら短期前提の割り切りスタンスで腹五分目投資、というのを肝に銘じておく必要がある。

先人は落ちてくるナイフはつかまないのが賢明と教えた。ただ、現状で実態面と比較して、過剰に投げが出ていると思われる銘柄をチェックしておくのは決して無駄な作業ではない。一例として、光通信関連のオリコン<4800>不動産関連のウェルス・マネジメント<3772>5G関連の那須電機鉄工<5922>などを挙げておきたい。

なお、目先的には光通信関連の一角で頭角を現している北沢産業<9930>。きょう急動意しているものの、まだ初動で株式需給関係も悪くないことから継続注目してみたい。また、きょうは長い上ヒゲをつけたが、企業からの個人向けSMS配信サービス代行を手掛けるアクリート<4395>は、今のテレワーク巣ごもり消費関連が買われやすい地合いにマッチしている銘柄としてマークしておく価値がありそうだ。

日程面では、あすは1月の建設機械出荷額が前場取引終了後に発表される見通し。海外では1月の米耐久財受注、米中古住宅販売仮契約、10~12月の米GDP改定値など。米7年国債の入札も行われる。このほか、韓国中銀による政策金利発表も予定されている。

(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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