明日の株式相場戦略=総論と離れ各論で突破口を探す

市況
2020年3月4日 17時48分

きょう(4日)の東京株式市場は、朝方は半ば諦めムードで始まった。前日の米国株市場で、FRBが緊急利下げという伝家の宝刀を抜いたにも関らずNYダウが急落し、これが現在のマーケットが置かれている環境の厳しさを物語る形となったからだ。

しかし、足もとの米国株と日本株の連動性は低い。今が非常時モードで、東京市場が取引時間中の米株価指数先物を横にらみに動いているからともいえるが、そこに介在するのはニュースヘッドラインに対応するアルゴリズム売買だ。きょうはスーパーチューズデーの開票結果にリンクした先物の上げ下げで全体相場は振り回された。中道派のバイデン前副大統領が複数の州で勝利する見込みが伝わると、これを受けた先物への買い戻しで日経平均はプラス圏に浮上した。11月の大統領選で仮にトランプ大統領が敗れたとしても、株式市場を取り巻く環境が激変するということにはならないという思惑が、株価にはポジティブに働いたということ。ただし、 新型コロナウイルス絡みの思惑からいったん離れたきょうの値運びは、一過性のものと捉えるべきところかもしれない。今晩の米国株が、米株価指数先物が描いた通りに大きく切り返したとしても、コロナ関連のニュースヘッドライン一発で一瞬にして掻き消されることもあり得るわけで油断はならない。きょうの東京市場では、米国が先陣を切った世界的な金融緩和モードを映し、業種別では不動産株が値上がり率トップに買われ、銀行株が値下がり率トップに売られるという極めて合理的な動きも見られたが、全体を俯瞰すれば理屈では説明しにくい需給先行で振り回される銘柄も多かった。

個別株は参戦するのであれば常に凧糸を出し切らない半身の構えが必要だが、総論は厳しくても各論であれば突破口は見いだせる。十把一絡げ(ひとからげ)に売られたもので戻り余地の大きい銘柄につくという考え方が基本。例えば、前日にも触れたが、現在の新型コロナウイルスの影響で商機が広がるセクターは見直し買いの対象となる。マイナスの思惑をプラスのベクトルに変えるテーマは、マスク抗菌剤など直接的な防疫関連だけではない。一部で社会構造的な変化を株価に投影する動きが出ている。現在のマーケットで光が当たっている巣ごもり消費テレワークなどはそれに該当する。

目先人気が再燃したブイキューブ<3681>はWeb会議やネット上のセミナーなど遠隔地にいる相手を映像でつなげるビジネス、言い換えれば人と人とのリアルな接触なしに同じ空間にいるような状況を作り出すビジネスを展開していることで、これが時流に乗るとみられている。ブイキューブが人気化するなら、テラスカイ<3915>やクラウドワークス<3900>はどうかという発想が生まれ、きょうはその思惑がそれぞれの株価に反映された。

このほかでは、昨年12月16日にマザーズ市場に新規上場したニューフェース銘柄のランサーズ<4484>に着目。底値圏に位置するだけに意外性がある。同社はフリーランスなどの人材と企業をマッチングさせる。フリーランスは上場時で約100万人が登録しており、これをベースに会社側では大手企業の依頼獲得に積極的だ。国内証券調査部によると広告宣伝費が一巡し回収期に入る21年3月期は黒字に浮上するとの見方を示している。

巣ごもり消費ではやはりゲーム関連だ。小中高校の一斉休校を受け、生徒が勉強せずにゲームに時間を費やすという理屈もどうかと思われるが、このタイミングで値動きの速い一連の銘柄群に投資資金が流れ込むことに違和感はない。前日取り上げた出来高流動性の高いAiming<3911>は流れに乗った形だが、足もとの業績が会社側想定より大幅に改善しているgumi<3903>なども要注目場面か。

あとは今月末から商用化が開始される次世代通信規格「5G 」も、休養十分の銘柄が多く改めてテーマ性を帯びる可能性がある。ブイキューブが手掛けているような映像関連ビジネスは5G時代に飛躍する可能性がある。この流れでは、ストリーミング配信を手掛け5Gと関係密接なJストリーム<4308>の4ケタ割れ水準は仕込み場としてどうか。これ以外では、ローカル5Gの関連最右翼である独立系システムインテグレーターのTDCソフト<4687>などは悪目買いのチャンスとみる。

日程面では、あすは2月の輸入車販売、2月の車名別新車販売など。海外では1月の米製造業受注、1月の豪貿易収支のほか、臨時OPEC総会が行われる。(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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