明日の株式相場戦略=日経平均2万円“通過”の現実、逆張りの機を待つ

市況
2020年3月9日 17時58分

新型コロナウイルスの感染拡大によって回り始めたリスクオフの歯車が止まらない状況となってきた。週明け9日の東京株式市場では日経平均が一時1200円を超える下げを記録、フシ目として意識されていた2万円大台ラインをいともたやすく踏み抜いた格好となり、いかにもここは底値ではないといわんばかりの売り圧力が顕在化した。世界同時株安に加え、原油市況の急落、為替市場で急速に進む円高。野も山も皆一面に弱気なら、阿呆になって米を買うべしという相場格言は、「米」を「株」に変えても十分通用するが、依然として今はそのタイミングではないように思われる。

株式市場だけではない、100年に一度といわれたリーマン・ショック時を思い起こさせるがごときリスクアセットの叩き売り状態にある。リーマンは金融危機だったが、新型コロナは我々の日常に浸透してきた恐怖であり、リアル経済の動きを止めている。例えば財政を出動させて公共投資を拡大させようにも、人と人との接触が制限される状況にあって、国費を投入するだけでは先に進まないという現実がある。対策はすべて新型コロナ対策に集約するべき局面といってもよい。ワクチンや特効薬が開発されれば視界は一気に変わるが、現状は開発までには時間を要す局面にある。それまで、相場は延々と下がり続けるということはないが、今はこれから米国で感染者数が拡大していくというフェーズに入った段階。世界の株式市場がリスク回避の売りを凌駕して大勢トレンドが再び上昇に向かうというシナリオには無理がある。東京市場については、これに円高という“固有の悪材料”が付随しており、更に厳しい環境下にあるともいえる。

一方で、東証1部の騰落レシオは56.8%と異常値を示しており、RSIやストキャスティクスなど各種投資指標も明らかに売られ過ぎを示している。テクニカル的には売り方も手仕舞いを強いられるタイミングだが、早晩リバウンドしても改めて売り直しの動きが出てくることが想定される。

突っ込み買いのリバウンド狙いということになるが、落ちてくるナイフはつかむなという相場格言もある。ここは、焦って買い向かわなくてもこれから先チャンスはいくらでもある。よく「チャンスの女神には後ろ髪がない」と言われるが、実際のところ株式投資では焦って動いても“拙速”となるケースのほうが遥かに多い。買いについては、ピンポイントでタイミングを逃してもそれは“機会損失”に過ぎず、実損ではない。3月、4月相場ではいったん底が入ったと思っても、キャッシュポジションは常に高めに維持して、クライマックスにはゆっくり買い向かうという構えで対処するのが実践的だ。

日程面では、あすは2月のマネーストック、2月の工作機械受注など。また、5年物国債の入札も予定されている。海外では2月の中国消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)。このほか米3年物国債入札など。(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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