来週の株式相場戦略=日米金融政策に注目、リーマン時のPBR最安値に到達
今週の日経平均株価は前週に比べ3300円(16%)の大幅安。日経平均は、下値とみられていた2万円をあっさり下回り、一時1万7000円も割り込んだ。市場には「リーマン・ショック時を上回る急落」という声が響き渡った。来週は今週の安値が当面の底となるかが焦点だ。来週の予想レンジは1万6000~1万9000円。
新型コロナウイルスの感染拡大が株価暴落の引き金を引いたが、市場では米国市場の過去に例のない急激な下落に関心が集まっている。今回の急落は「ETFの規模が急拡大し、その運用資金が機械的に放出されていることが大きい」(アナリスト)という。コンピューターの判断によるため、値頃感を基にした下値拾いの買いは入らない状況が生まれている。
今週は記録的な下落となったが、市場関係者からはリーマン・ショック時の最悪期と並ぶ株価指標まで売り込まれたことを指摘する声が出ている。ひとつは、日経平均が一時1万7000円を割り込んだことで、リーマン・ショック時の08年11月につけたPBRの下限である0.81倍(1万6890円)と並ぶ水準まで売られたことだ。もうひとつは、恐怖指数と呼ばれる米国VIX指数は12日に75.47まで上昇し、08年11月の終値のピークである80.86に近づいた。日経平均が今週の安値で下げ止まれば、リーマン時の最安値の指標が下支えとなったことになる。
来週は日米中央銀行の金融政策決定会合がある。米連邦公開市場委員会(FOMC)は17~18日に開催されるが、市場では0.75%あるいはそれ以上の大幅利下げも意識されつつあり、量的緩和の再開も視野に入り始めている。18~19日の日銀金融政策決定会合ではETFの買い入れ枠を6兆円から9兆円前後へ拡大することが予想されている。日米の金融政策決定会合を経て市場が落ち着くかどうかが焦点となる。
来週は16日に国内では1月機械受注、海外では中国2月鉱業生産、17日に米2月小売売上高、19日に米2月景気先行総合指数が発表される。20日は東京市場が春分の日で休場となる。 市場には、戻り相場に入った時は村田製作所<6981>やアンリツ<6754>のような電子部品・5G関連の優良株が先頭を切って値を上げるという見方がある。一方、消費低迷の影響が強い内需株は、上値の重い展開が続くともみられている。(岡里英幸)
最終更新日:2020年03月13日 18時35分