米国雇用統計:2月の振り返りと3月のポイント「労働市場に明らかな変調が見られるか?」 住信SBIネット銀行(馬渕磨理子)

経済
2020年4月2日 12時10分

こんにちは。フィスコ企業リサーチレポーター馬渕磨理子の「住信SBIネット銀行の気になるレポート」です。

【馬渕が気になった3つのポイント】

・2月はウィルス感染拡大前の統計データ

・3月非農業部門就業者数は2009年10月以来となる減少予想

・今後は、急激な円高進行の可能性に注意か

4月3日発表の米雇用統計に向けてレポートをご紹介します。その前に前回の2月雇用統計を振り返ってみましょう。

2月の雇用統計は、非農業部門就業者数が27.3万人増、失業率3.5%となりました。時間給賃金は前月比+0.3%、前年比で+3.0%と特に懸念されるような結果ではありませんでしたが、これは『ウィルス感染前の統計であり為替、株式、債券市場への影響はまだ限定的』だったためといえそうです。

レポート内では、2月就業者数の内訳について『ヘルスケア5.7万人増、レストラン・外食5.3万人増、政府系4.5万人増』と紹介されています。現在、ウィルス感染の影響をダイレクトに受けていると考えられるレストラン・外食が増加しているというデータは、まるで嵐の前の静けさを示唆する内容のようにも感じます。

米国ではロックダウンなどが実施されている地域もあることから、3月の雇用統計は非農業部門就業者数10.0万人減、失業率3.8%、時間給賃金は前月比+0.2%、前年比+3.0%と2月から悪化する予想となっていますが、市場に今後どのような影響を与えると考えられるでしょうか?

レポートでは、3月26日に発表された『米新規失業保険申請件数が328.3万件とリーマンショック後を上回る過去最大の急増』となったことに加え、『今後も全米各州での人やモノの移動制限の長期化が予想される中、さらなる失業保険申請件数の増加が予想されるだけに今週も4月2日に発表される新規失業保険申請件数も315.0万件と高止まりすると予想されています』と伝えています。

上記からも3月の雇用統計にも影響が出ることが見込まれており、予想通り非農業部門就業者数が10.0万人減となれば、『2009年10月以来となる就業者の減少』となります。コロナ感染収束の兆しがまだ見えてこないため、“アフターコロナ”ではなく“withコロナ”の世界を模索しなければならない段階となっているのかもしれません。

また、3月の雇用統計の発表により『ドル/円は105円台への下落の可能性も含め、急激な円高進行に注意が必要です』と伝えています。今回の発表内容で『米国経済の堅調を支えてきた労働市場に明らかな変調が確認されることになれば、今後発表される米国の主要な指標の悪化が当面続くとの思惑を高める』ことも予想されるため、本格的にリスク回避の動きにつながった場合の可能性も想定しておく必要がありそうです。

そのほか、テクニカル面での新たな下値模索についての分析もありますので、ぜひ、参考にしてみてくださいね。

上記の詳細コメントは、住信SBIネット銀行サイト内の「米国雇用統計」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。

フィスコ企業リサーチレポーター 馬渕磨理子

《CN》

提供:フィスコ

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