マーケットE Research Memo(7):成長余地の大きいリユース市場

特集
2020年4月2日 16時07分

■中期成長戦略

1. ネット型リユース事業の市場

ネット型リユース事業はマーケットエンタープライズ<3135>の中核事業であり、成長性においても中期的に高成長が期待できる成長産業と言うことができる。

理由は、第1にリユース市場の規模の大きさにある。経済産業省のレポートによれば、日本の2016年度時点のリユース市場は7.6兆円の規模があるとされている。このうちCtoCが得意とする衣服・服飾品や書籍、ソフト・メディア類が4.4兆円で、同社がターゲットとして買い取っているのが家電4品目やカメラ・周辺機器、パソコン・周辺機器など、CtoCとの相性が良くない商材3.2兆円である。これに、農機具や建設機械、医療機器など1.3兆円+αが同社ターゲットとして加わる。同社ターゲットとなるトータル4.5兆円+αの市場に対して、同社の売上規模は100億円に過ぎない。したがって、今後の成長余地は高いと考えられる。特に農機具や建設機械、医療機器など法人が利用する大型商材は、リユースの市場が確立していない分野である。そこに市場を構築したのが同社と言え、先行者メリットは十分享受できるだろう。

第2には、前述したように、インターネット専業の利便性や上場企業としての安全性、取り扱い商材の幅広さ同社にリユース他社を凌駕する強みがあるということだ。今後、マッチングプラットフォーム「おいくら」を通じてボリュームゾーンである低価格帯の市場に打って出れば、成長力はおのずと高まると考えられる。

2026年6月期目標の経常利益10億円は前倒しの勢い

2. 中期成長イメージ

同社は2026年6月期に経常利益10億円を目指している。コミットメントと言うより、役職員に向けたストックオプション※の業績達成条件である。それでも経営陣としては、役職員のために譲れない目標だろう。だから株式市場はそうした目標に注目し、達成を期待するのである。そして達成はと言えば、業績トレンドから十分に達成の可能性があり、足元の業況や取り組みを考慮すれば、むしろ1~2年前倒して達成してもおかしくない勢いと言える。

※第8回ストックオプションの業績達成条件:2026年6月期までの間、いずれかの単一事業年度において「経常利益の額=10億円を超過」した場合。

現在の勢いについては既に説明してきたが、今後について、まずネット型リユース事業の売上高は、「おいくら」のシナジー、各種アライアンス、取扱カテゴリーの拡大など、リユース市場においてシェアアップすることにより高成長が期待できる。売上貢献としては大きくないかもしれないが、新規事業がこれに加わる。通信分野では、SIMロック解除の義務化と2年縛りの上限引き下げ(2年契約の中途解約に伴う違約金の上限を1,000円に引き下げること)という、長く続きそうな追い風が吹いている。利益面では、今後広がるカテゴリー次第だが、仮に農機具や建設機械、医療機器など法人向け大型商材の構成比が大きくなるとすれば、売上総利益率は若干低下すると思われるが、「おいくら」への送客が順調に拡大することやメディア事業の拡大による利益率の向上が期待される。

以上から、中期的な利益成長率は比較的大きくなることが見込まれる。2019年6月期の経常利益455百万円を基点に、2026年6月期の経常利益が1,000百万円になるとすれば、平均利益成長率は12%弱である。現況を考えると12%という数値は無理のない数値に見えるが、前述したように、むしろもう少し高い成長率を期待してもよさそうだ。そうなれば経常利益の目標値の達成は前倒しされることになる。仮に平均利益成長率を15%とすると1?2年前倒しされることになるが、その可能性は少なからずあると言って差し支えないだろう。商材カテゴリーが拡大し、新規事業の成長が軌道に乗り、アライアンスも充実し始めてきた。遠からず、中期経営計画などで示唆されることを望む。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《SF》

提供:フィスコ

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