【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 緊急事態宣言の発令効果を先取り
「緊急事態宣言の発令効果を先取り」
●中国ビジネス関連が買い直されるか?
緊急事態宣言が発令されたにしては、東京市場の反発力は強いとはいえない。市場も待望していた緊急事態宣言なのだから素直に好感、一気に2万円台に乗せてもおかしくないが、ようやく1万9000円台回復といったところだ。
何しろ出来高が少ない。この原稿を書いている9日も、東証1部の出来高は13.6億株に過ぎなかった。これは、はっきり言って閑散相場になる。 新型コロナの拡大が止まっていない以上、取引はしづらいだろう。しかし、政府は拡大に歯止めをかけるべく緊急事態宣言を発令したのだ。
海外諸国のそれに比べて強制力が弱いとの見方から「効果は少ないだろう」、市場はこう見始めているのだろうが、日経平均株価が下げているわけではないので、いまはこれだけで満足したいところ。今後、次第に正当評価するだろうという期待も持てる。
実際そうなる可能性は高い。中国が武漢の封鎖を解き、各地で移動が自由になりつつあるからだ。そんなことをして大丈夫か。海外から見ている我々には、こんな不安がある。感染者の増加はまだ止まっていないのではないか、データを誤魔化しているのではないか、という疑念だ。
しかし、人の移動の容認は感染者や死者のデータを誤魔化して実現することではない。かなり正確なデータに基づいて実行されていると見てよく、今後は中国とのビジネスに力を入れている銘柄が買い直されることになりそうだ。
●中長期投資では仕込みどころに
中国関連ビジネスとは関係が薄い銘柄にも、いまは投資する魅力がある。市場が大きく下げてしまったことから、地方の金融機関などが改めて中長期投資に力を入れるようになっているからだ。現在のような状況は、過去の暴落相場を振り返ると中長期投資の観点からは仕込みどころとなる。そして、最後にもちろん忘れてならないのが、ネット販売に強い会社。
有望分野がこれだけあれば十分であり、それらの中から次のような銘柄に注目だ。
まずは、ZOZO <3092> だ。前社長の前澤氏が経営から完全に手を引いてしまったため経営再建は困難ではないか、こう見ていたのだが実際は逆だったようだ。加えて、新型コロナの感染拡大で「ZOZOTOWN」の利用が急増中となっている。株価は売られ続けていたが、見直しの方向だ。
ネット通販で配達される包装ケースは最近段ボールだけでなく、多彩になっている。そこで紙容器に強いザ・パック <3950> だ。もちろんそれらを配達するのは、ヤマトホールディングス <9064> やSGホールディングス <9143> 。これらの株価も高値圏ながらさらなる上昇が見込める。
多くの企業や店舗が改めてネット販売の重要性を認識したと見てよく、実店舗とネットの統合管理システムに強いアイル <3854> も押し目は見逃さないようにしたい。
地方の金融機関などが買いに転じる可能性が高いのはJ-REIT。ほとんどの銘柄が大きく下げていたが、徐々に戻りつつあるため、4月決算を控えたプレミア投資法人 <8956> [東証R]、いちごオフィスリート投資法人 <8975> [東証R]、星野リゾート・リート投資法人 <3287> [東証R]のほか、大和証券オフィス投資法人 <8976> [東証R]、ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人 <3278> [東証R]などに投資しておきたい。
中国関連ビジネスでは、ニホンフラッシュ <7820> になる。この会社はマンション用内装ドアで首位。中国でも積極展開しているため今後は販売復活が見込め、株も続伸する確率が高い。
ここは緊急事態宣言発令の 効果先取りを心がけたい。
2020年4月10日 記
株探ニュース