NITTOKU---巻線機の製造を原点とする要素技術で世界の「モノづくり」をリード

材料
2020年4月20日 15時42分

「若手には自分の好きなことを見つけて、仕事をしてほしいんです」と話すのは、NITTOKU<6145>の近藤 進茂(こんどう のぶしげ)社長。創業は1972年。銅線を巻いてコイルやモーターを作る機械の製造が原点だ。

我々の身近にある自動車や家電には数えきれないほど多くのコイルが使われている。電気を運動に変えるには必ずコイルが必要になる。スマートフォンの中には、同社の巻き線機が作る直径1mm以下の超精密コイルを含め8種類、50個以上のコイルが入っている。この分野での同社のシェアは世界で約7割だ。また、自動車の発火装置やABSに使われるモーターやコイルの製造装置は国内でほぼ9割が同社の製品だ。現在も、「巻く」技術を中核に、「継ぐ」「引っ張る」「制御する」などの要素技術を展開し、顧客は自動車関連、家電、情報通信からICカードと幅広く、最近ではカテーテルの撚り線製造装置など医療分野にも手を広げる。

2010年ごろからスマートフォンの部品の生産技術がない中国企業が急成長し、一気にグローバルサプライヤーとなったのは、米国・韓国メーカーが水平分業方式を採用したからである。この際、生産技術と設備開発を丸ごと、NITTOKUが引き受けたのが飛躍のきっかけである。自前主義の日本のメーカーは次々とスマホから撤退していった。現在、同社の売上高318億円のうち約7割を海外売上が占める。

近藤社長によると、日本が勝てるモノづくりは「人を基軸」にした「すり合わせ」の技術にあるという。

完全なアイデア競争が根底にあるデータサイエンスやAIでは、日本は欧米や中国にはおそらく敵わない。また、5Gなど通信技術の規格の標準化は中国、端末のコモディティ化は韓国の得意とするところである。日本の強みは、先端素材の開発や高付加価値素材、自動車などの複雑な機械、超微細部品加工や精密工作機械など、顧客ニーズに最適な開発をするために、個々の専門的なノウハウを「すり合わせる」職人的な技であり、現場力だという。

「新入社員には現場力のある『プロフェッショナル・ブルー』を目指しなさいと言っています。どんなに環境が変化しても食べていけます。中途半端なホワイトカラーはAIに取って代わられてしまいますから」

意欲的で優秀な若手には、どんどん難しい仕事を任せる。仕事の「仕組み作り」から「仕上げ」までを経験させて現場力とオーナーシップを体得させるのだ。2013年には長崎事業所を設立し、本人がやってみたいという顧客との共同開発プロジェクトを行う事業所経営を任せた。彼は当時35歳で現在は執行役員になり、会社の未来を担う人材となっている。

圧倒的なシェアを持つ自動車の電装部品でも、次世代EVモーター、自動運転技術やコネクティッドカーなど、同社の持つ要素技術を存分に生かし切る絶好の機会がきており、今後の一層の飛躍が期待される。

《SF》

提供:フィスコ

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