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すご腕投資家・DUKE。さんに聞く「コロナ相場を乗り切る技」-第1回

特集
2020年4月17日 11時50分

日経平均2万円で、今からリバウンドに乗るのは遅い?

登場する銘柄
サーバーワークス<4434>、メドレー<4480>、シスコシステムズ<CSCO>

文・イラスト/福島由恵(ライター)、構成/真弓重孝(株探編集部)

DUKE。さんDUKE。さん(40代・男性)のプロフィール:
2003年の会社員時代から株式投資を開始。当時は割安成長株狙いの投資を続けていたが、目覚ましい成果は出ず。その後、ライブドア・ショック、リーマン・ショックを経て、本人いわく「けちょん、けちょん」になる場面もなんとか乗り越えつつ、成長株投資で著名なウィリアム・オニールの投資法に出合う。以降はこれまでのファンダメンタルズを追求する投資法にテクニカル要素も取り入れたテクノファンダメンタルに投資手法を改良し、新高値を更新して上昇トレンドに乗る銘柄に投資する「新高値ブレイク投資術」にたどり着く。その改良法が花開き、14年には累計利益1億円を突破する。現在は、専業投資家に転身。自身の投資をさらにパワーアップさせながら「新高値ブレイク投資塾」を主宰する。塾生から多くの億り人を輩出すべく、自身の投資法を伝授することに力を注ぐ。著書に『新高値ブレイク投資術』(東洋経済新報社)、『新高値ブレイクの成長株投資法』(共著、パンローリング)がある。

コロナショックで2万4000円近辺から一時は1万6350円程度まで暴落した日経平均株価も足元では1万9000円台に浮上。新年度に入り、2万円台も視野に入る水準にまで回復してきた。

およそ1カ月の間に30%程度と下げの速度が早かった分、反発も勢いが付いた格好だ。この状況を目の当たりにして、

「底値で拾い損なった」

「リバウンド局面に乗れなかった」

――という趣旨の声もSNS(交流サイト)で聞かれる。はたして今は積極的に買って攻めていくべき時期なのか?

『株探』プレミアムでは億万投資家のDUKE。さん(ハンドルネーム)に意見を聞いた。書籍を出版し、メディアに登場する機会も多いことからご存じの読者も多いと思うが、DUKE。さんはサラリーマン時代に「新高値ブレイク投資法」と呼ぶ、投資家が注目し株価が動意づき始めたばかりの成長株を狙う戦略を確立して、億トレの地位を築いた。

現在は脱サラして専業投資家として投資を続ける傍ら、自身の投資法を個人投資家に伝授する塾を主宰している。今回、急遽インタビューすることにしたのは、この2月末に、米国株の様相から素早くポジションを半分に落とすよう注意喚起メールを塾生に送っており、いち早く"株式投資の緊急事態宣言"を発信、今回の暴落は深刻になる可能性を示していたからだ。

冒頭で触れたように足元の反発を見ると、「もう大底は脱した」と強気モードにギアを入れたくなる展開だが、それでいいのか? 自身も過去の危機で何度も痛い目に遭い、気持ちも資産も凹むことがありながら、億トレの地位を勝ち取ったDUKE。さんに、大波乱相場の猛威から身を守り、次のチャンスを掴む技を4回にわたって紹介する。

まずは足元に見られた株価反発の動きの中、どのような姿勢でいるべきなのかを聞いた。

■日経平均株価の日足チャート

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注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同

焦ってはダメ! まだ赤信号が黄色信号になった段階

――足元の株価は、3月中盤に付けた一旦の底値からは大きくリバウンドし、「拾い損なった」と焦って買い出す動きも見られますが、ここは強気買いできる場面なのでしょうか?

DUKE。さん(以下、DUKE。): 全く焦る必要はないでしょう。確かに3月中旬のようなパニック的な売りが出る局面は、ひとまずは回避しつつあると思います。例えて言うなら、全体相場においては、現在は「発進してはいけない赤信号が灯った状態から、やや待ちの姿勢が必要な黄信号の状態」に変わった場面でしょう。

一方で、この後、再び株価は下落に転じ二番底を形成する可能性もないわけではありません。今の時期は、有望と思える個別銘柄を見つけても、二番底の可能性を意識しながら、打診買いで様子を見ていくやり方が良いと思います。自分の買った銘柄に含み益が乗っていったら、少しずつその銘柄のポジションを高めていくのです。

投資手法によっても考え方が違うと思いますので、敢えて念押しします! 私の投資スタイルは「株価が上昇トレンドに入ったら買い、逆に下落トレンドが出たら手放す」という、株価トレンドに従うトレンドフォロー型(順張り)です。

この手法では、本格的な上昇トレンドが出たとは言えない場面では、強気にガンガン買うことはご法度です。

――全体相場の現在のモードは「黄信号」なのですね。それはなぜでしょうか?

DUKE。: 2つあります。

 1つは、株価が上昇トレンドに入ったサインを出す銘柄が少ないこと。
 もう1つはサインが表れた数少ない銘柄もそのモメンタム(勢い)が弱く、ぐらつきやすい状況であること。

これらから、まだ黄色信号と判断しているのです。

――そのサインはDUKE。さんが取り組む「新高値ブレイク投資法」で重視している指標ですか。

DUKE。: その通りです。新高値ブレイク投資法では買いのタイミングを、

①株価が新高値を抜いた時

あるいは

②保ち合いラインを上抜けた時

――としています。

足元で①や②に該当する銘柄も出ています。ただし、現在はあるにはあるのですが、まだそれほど多くはありません。例えば、コロナショック前の高値を抜いて、その後も株価が伸びているような銘柄が100くらい出現している状態でないと、本格的な上昇トレンドに入ったとは言い難い状況だと考えています。

そのため、様子を伺う意味で投資金額を小さくした打診買いを試みていますが、購入後に上昇しても、伸びずに下落して買い値を下回ってしまうこともありますね。

日経平均やTOPIX(東証株価指数)などの主要株式指数に代表される全体相場に力強い上昇トレンドが出ていない時は、新高値や保ち合いを抜けた銘柄も、ブレイクしてからなかなか株価が伸びないのです。

こうした状況から、今は大底を打ち完全な強気相場入りしたとは言えず、全力買いに入るのは時期尚早と見ています。

――打診買いした銘柄が値下がりした場合は、どうするのですか。

DUKE。: 私は自分の買い値から「10%損が出たら、損切りする」というルールを厳格に守っています。現在の相場では、株価の上昇力が弱い一方でボラティリティーは高い状況なので、よほどいい銘柄を見極めて投資しないと、すぐ損切りルールに引っかかってしまうケースが多くなってしまいます。

大暴落相場ではダマシが何度も出現

――とすると、波乱が収束していない時期に焦って買うと、すぐに反落して、「損切り貧乏」になってしまう可能性がありますね。

DUKE。: その通りです。ですから、新高値ブレイク投資法では、先ほど紹介した個別銘柄が出すサインにとどまらず、相場全体の強弱を見極めるサインにも注目するようにしています。それが「フォロースルー日」というものです。

――フォロースルー日ですか?

DUKE。: フォロースルー日というのは、米国のカリスマ投資家、ウイリアム・J・オニール氏が提唱するもので、株価の下落局面が終了し、その後は上昇相場のトレンド入りするとされている。一種の相場転換のサインですね。

フォロースルー日が登場したかどうかは、米国のS&P500種株価指数やダウ工業株30種平均を見るのが適しているとされ、私はこれらの指数に注目してチェックしています。ここでは詳しく述べませんが、

下落から上昇に転じた日を初日として、

2日目と3日目は、初日のザラバ安値を下回らずに推移、

そして4日目から7日目までの間に、1日でも前日よりも出来高を増加させつつ1.25%以上上昇する

――という条件を満たす日が出ると、それがフォロースルー日の出現となります。

では、米国の相場はどうなっているのかというと、S&P500では4月9日に3回目のフォロースルー日が出現しています。大底から反騰に向かい始めたという期待感はあるものの、まだまだ安心はできません。

というのも、フォロースルー日の出現があっても、当然ですが、100%の確率で上昇トレンドに転換したサインとなるのではなく、2~3割の確率でダマシ(テクニカル分析でサインが出たものの、実際はそのサインとは逆方向に動くこと)に終わることもあるからです。

また、過去の暴落時の例を見ると、一度底を打って反転しても、その後に二番底、三番底を迎えるケースがほとんどでした。

ちなみにフォロースルー日の詳細や見分け方は、次回にじっくり紹介します。

――リーマン・ショックなど過去の暴落相場では、何度も底が形成されていますね。

DUKE。: リーマン・ショックでは五番底まで付けています。

それ以前の2002年前後のITバブルや1990年前後の平成バブル崩壊後の大暴落、87年のブラックマンデー時の暴落劇を振り返ると、底値から15~25%の反発を繰り返しながら、結局はその一番底よりもさらに下押しする形で、二番底、三番底を付ける動きが見られます。

そのタイミングはまちまちで、3日後、というもののあれば、3カ月後にやってくるケースもあるわけです。ですから1~2カ月程度株価が強含んでくると、「もうそろそろいいだろう」と、つい強気買いしたくなってしまいますが、そこでまたヤラれる、ということもあり得るのです。新型コロナウイルスの感染拡大も予断を許さない状況であるように、株式相場も全く楽観視はできません。

■S&P500種株価指数の日足チャート(2008年7月~09年6月)

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※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。

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