明日の株式相場戦略=回り始めた舞台、社会変革で買われる株

市況
2020年4月30日 17時44分

波乱のスタートとなった4月相場だったが、その後は新型コロナウイルスの感染拡大という逆風環境のなか雑草のような逞しさで立ち直ってきた。きょう(30日)は4月最終日にして、先物主導とはいえ満を持して心理的フシ目の2万円大台ラインを突破、日足一目均衡表も雲抜けを果たしつつあり、振り返れば想定を超えるしぶとさをみせた月だった。これは米国株が強ければ、日本国内の新型コロナの感染者数の動向はあまり株価に影響を及ぼさないということを示唆している。米国株市場がどういう動きをみせるかがポイントであり、東京市場は“リモート相場”の様相を呈している。全体相場は個人的には5月に入れば上値が重くなるとみているが、それも米国株次第という要素が強く何ともいえない。

米国株を支えているのは何といってもFRBの存在だ。既にジャンク債の買い入れや一般企業への直接・間接融資など企業支援を前面に押し出し、株式市場を極めて重視した政策を打っている。前日のFOMCでは無制限の量的緩和の維持を決めたが、パウエルFRB議長はコロナ禍で疲弊した経済を前に、信用の流れを保つことは経済ダメージを軽減するために不可欠とし、今は政府債務を懸念する場面ではなく、財政の力を活用する時期であるとも言い切った。米国の4~6月期GDPが年率換算40%減見通しと恐慌といって過言でない状態で、NYダウが2万5000ドル、ナスダック総合指数が9000近辺まで戻してきている現実は、過剰流動性という足場がどれほど強力なものかを物語っている。

日本国内では企業の決算発表がゴールデンウイーク明け後から本格化するが、これが鬼門となる。ただ、決算発表に振り回されるのは仕方ないとしても、ハードルが最初から低いため総論的には決算悪イコール株安という構図ではなくなっている。足もとの業績の悪さはある程度不問に付す、という地合いであれば今の材料株物色の流れに有利に働く。

個別ではアフターコロナをにらみ半導体関連株が強い。シンボルストックのひとつであるレーザーテック<6920>は一時ストップ高に買われる人気となった。20年6月期第3四半期の好決算に加え、通期の受注高見通しも上方修正したことが株価にインパクトを与えた。5G関連が喚起する半導体需要が強力な追い風となっているほか、EUV露光装置の市場が急成長していることが背景にある。また、新型コロナがもたらした社会変革、テレワーク導入の加速で半導体の需要創出につながるという解釈も大手を振る状況となってきた。野村マイクロ・サイエンス<6254>やマルマエ<6264>などは引き続き注目、半導体関連製品を幅広く扱う日邦産業<9913>もマドを開けて急騰、目覚めの時を迎えている。

アフターコロナの社会変革という点では、29日の衆院予算委員会で「9月入学・9月新学期」への移行が一つの選択肢として急浮上してきたことも見逃せない。今回のコロナ蔓延が引き金となっておりプロセスとしては後味が悪いが、欧米スタンダードに合わせる動きが現実味を帯びてくれば、これは大変革であり、企業側も海外の有能な留学生や新社会人獲得などで今までと条件が大きく変わってくる。当然ながら株式市場でも投資マネーに潮流が生まれる。ここで注目したいのは社会人向け大学や大学院向けなどにネットを経由した通信マネジメント教育を手掛けるビジネス・ブレークスルー<2464>。時代を味方に同社の「エアキャンパス」が新たなトレンドを形成するかもしれない。株価は動兆しきりだが、まだマーケットの注目度は低い段階と思われる。

このほかテレワーク関連で株価切り返しに向け休養十分のランサーズ<4484>や、医療ICTで存在感を高めるケアネット<2150>、コールセンター人材へのニーズが高まる折、富士ソフトサービスビューロ<6188>なども時流に乗る銘柄としてマークしておきたい。

日程面では、あすは4月の都区部CPIのほか4月の自動車販売台数などが発表される。海外では4月の米ISM製造業景況感指数が注目となる。このほか3月の米建設支出なども開示される。なお、欧州やアジア主要市場は休場となる。

(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2020年05月01日 10時23分

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