来週の株式相場戦略=半値戻しから一段高探る、緊急事態解除を意識も
今週の日経平均株価 は、559円(2.9%)高となった。ゴールデンウイークの連休明けで2日間の取引だったが、日経平均は2万円台を回復し堅調だった。
日本が連休となっていた間に、海外では米国のほか欧州でも行動制限の緩和に向けた動きが本格化し、状況は大きく変わりつつある。米国では30州以上が経済活動を一部再開したと伝わった。この「アフターコロナ」に向けた動きが、米国株の上昇の背景にある。
日本政府は、4日に「緊急事態宣言」を今月31日まで延期することを発表した。しかし、日本でも今月末の緊急事態宣言の解除を意識する動きが強まっている。政府は14日までに宣言解除の基準を発表するとしている。また、独自の解除基準を発表した大阪府は、早ければ15日にも自粛要請を解除する可能性がある。国内大手証券は「緊急事態宣言延長による経済損失は約8兆円」とも試算しており、この負担が続くことには議論が出てくるだろう。
全ては新型コロナウイルスの感染状況次第だが、市場の関心は海外に続き日本が宣言解除に移っていくかどうかに向かっている。この日の市場では、高島屋<8233>など百貨店株や鳥貴族<3193>など居酒屋、共立メンテナンス<9616>などホテルといった新型コロナで売り込まれた業種が急反騰した。また、東証REIT指数は5%高と急伸したが、「出遅れ感から実需筋が買いを入れたようだ」(アナリスト)との見方も出ている。
日経平均株価の先行指標となっている、東証マザーズ指数は1月高値に接近し、全値戻しが視野に入っている。日経平均株価は、半値戻し(2万238円)水準にあるが、出遅れ感は強い。日米欧の中央銀行による金融緩和マネーは、ここから株式に一段と流入するとの期待も強い。
来週の経済指標の発表は、15日の中国工業生産や同日の米4月小売売上高が目立つ程度。ただ、国内では12日のトヨタ自動車<7203>やNEC<6701>、13日のソニー<6758>など注目企業の決算発表が予定されており、その内容に関心が集まっている。来週の日経平均株価の予想レンジは1万9700~2万800円。
(岡里英幸)