来週の株式相場戦略=2万円ラインの攻防続く、中国・全人代の動向に関心も
今週の日経平均株価は、前週に比べ141円(0.7%)安と3週ぶりに下落して取引を終えた。欧米では経済活動再開への期待が膨らんでいるものの、その一方で新型コロナウイルスの感染拡大「第2波」への警戒感が強い。来週もこの両材料による綱引き状態が続くことになりそうだ。来週の日経平均株価の予想レンジは1万9500~2万500円。
日本政府は14日に「緊急事態宣言」を39県で解除することを発表したが、東京など8都道府県は特定警戒を維持した。この首都圏を含む緊急事態宣言は、「今月いっぱいで解除されるとの見方が多い」(アナリスト)ようだ。東京などの感染者の推移に左右されるが、早ければ来週にも解除が宣言される可能性もある。ただ、この緊急事態宣言の解除は相場に織り込み済みとみられている。むしろ、6月まで延期とされた場合はネガティブ要因となるかもしれない。
日経平均株価は2万円を回復したが、2万500円前後からは上値が重い。ただ、下値も1万9500円前後にとどまっている。足もとで裁定売り残は2.1兆円前後と過去最高水準にある。海外投資家はショートポジションを膨らませており、下げた場面では買い戻しが入るため、下値も限定的とみられている。
来週は依然として日本企業の決算発表の内容が注目されそうだ。特に18日のソフトバンクグループ<9984>やコマツ<6301>、パナソニック<6752>などが関心を集めそうだ。また、延期されていた中国・全人代が22日から開催される。ここで何らかの新たな経済対策などが打ち出されるかどうかを市場関係者は注視している。
セクター別では半導体の動向に目を向けたい。米国のエヌビディアは過去最高値を更新している。日本でもレーザーテック<6920>がやはり最高値圏で頑強な値動きを続けている。
(岡里英幸)