明日の株式相場戦略=“懐疑の森”で開花する有望株

市況
2020年5月18日 17時43分

週明け18日の東京株式市場は、日経平均株価が2万円大台近辺で売り物をこなし切り続伸した。国内でも新型コロナウイルスの感染者数の伸びが急速に鈍化するなか、39県で緊急事態宣言が解除されたほか、残りの8都道府県についても政府は解除するか否かを21日に判断する見通しと伝わっており、これが強弱感対立のなかも戻り相場を後押しした。日経平均は“懐疑の森”を匍匐(ほふく)前進するような展開を続けている。

ただし、引き続き当面は短期スタンスを前提にヒット&アウェイで立ち回る相場と心得たい。中期スタンスで資金を寝かすのはやはりリスクが大きいという認識に変わりはない。日経平均のPERは直近で27倍台まで上昇、2012年末以降のアベノミクス相場の平均ゾーンが13倍台だから、およそノーマル水準の2倍まで買われている勘定となる。

もちろん、明けない夜はないという言葉通り、企業業績は目先大底に近い局面というコンセンサスが支えで、さながら今は東の空が白み始めた夜明けの段階といっても間違いではないだろう。足もとの株価動向はこれから上ってくる太陽のまばゆさを先取りした動きであると論じることも可能だ。しかし、それでも未来のファンダメンタルズが、例えば半年先程度の企業業績や経済が今の株価を肯定できるほどの復元力に満ちたものであるとは到底思えない。何が契機となるかは分からないが、モメンタム相場は簡単に折れる。折れた時のことも投資家は常に考えながら進まなければならない。今の相場でスイングトレードが許容される時間軸にあるのかどうかは置くとして、オーバーナイトしないという選択肢を順守するなどもひとつの知恵といえる。

魅力的な銘柄がないというわけではない。社会的な現象がヒントとなって、懐疑の森の中で花を咲かせる個別株も多い。一律10万円の給付でいろいろと問題点が浮上しており、これを契機に災害時の現金給付ではマイナンバー制度を活用することに自民党は本腰を入れる構えをみせている。何度か取り上げてきた銘柄ではあるが、官公庁案件に強いITbookホールディングス<1447>が再び動兆、合わせてキャリアリンク<6070>なども同関連の有力株としてマークしておきたい。

また、10万円が一律給付された際に消費行動にどう反映されるかを考えた場合、高額商品を一括で買うということにはなりにくい。新型コロナがもたらしたデフレマインドに支配され、生活必需品を中心に値段の安いものに資金を振り向けるケースが主流となりそうだ。とすれば、株式市場でもセリア<2782>などの百円ショップ銘柄は注目される。王道はセリアだが、小型で値ごろ感のあるワッツ<2735>なども妙味を内包している。更に首都圏を地盤に食料品を中心としたディスカウントストアを展開するジェーソン<3080>も存在感を高める可能性がある。

パソコン関連ではパシフィックネット<3021>が25日移動平均線を足場に切り返し歩調にある。また、ここ再注目している東海ソフト<4430>も押し目買いで報われそうな好チャートを形成、上昇ムードが強い。米国株市場では画像処理半導体大手で人工知能(AI)関連の雄であるエヌビディアが最高値圏を舞っているが、その流れを意識してか日本サード・パーティ<2488>も上値指向が強く目が離せない局面だ。意外性のあるところでは休火山状態の神島化学工業<4026>に目を配っておきたい。米軍が宇宙空間での太陽光発電で実験用の無人宇宙機を打ち上げたことが伝わっているが、同社はJAXAを中心に研究開発が進められている「宇宙太陽光利用システム」でキーテクノロジーとなるレーザー用YAGセラミックスを提供している。

日程面では、あすは3月の鉱工業生産指数(確報値)が後場取引時間中に経済産業省から発表される。海外では、4月の米住宅着工件数のほか、パウエルFRB議長の議会証言が注目される。また、5月の欧州経済研究センター(ZEW)の独景況感予測指数、豪中銀が金融政策会合の議事要旨開示、インドネシア中銀の金融政策会合の結果発表など。

(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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