富田隆弥の【CHART CLUB】 「小回り3カ月、6月高値の懸念」
◆6月9日に2万3185円のザラバ高値を付けるなど日経平均株価は快調に上昇街道を歩んでいたが、11日に652円安と久しぶりに大きな調整を入れた。5月22日のザラバ安値2万334円から2週間で2851円(約14%)も上げていたので、「当然の一服、当然のスピード調整」という見方はできる。
◆とはいえ、厳しい実体経済やテクニカル指標の過熱を無視して、「需給」で強引に上昇を演じてきた株式市場だ。需給相場は一方向に走る傾向があり、反動安が大きくなる可能性もある。下値としては25日移動平均線(11日現在2万1396円)がメドになるが、相場が落ち着くまで少し様子を見るのも一策だろう。
◆米国ではナスダック指数が初めて1万ポイントの大台に乗せた。コロナ後の新しい社会・経済を牽引するであろう「大手IT企業」に世界の投資マネーが流入している。とはいえ、日米欧が実施する巨額の財政・金融政策であふれたマネーが行き場を求めてナスダック市場に流入している事情がある。世界を見渡せば新型コロナウイルスの感染が終息したわけではなく、米国においても実体経済や過熱を極めるテクニカル指標を無視した上昇相場が繰り広げられている。
◆日米とも「需給相場」を演じている訳だが、日本のメジャーSQが12日で、米国のメジャーSQ(トリプルウィッチング)は19日と、この6月は先物の清算日(SQ)に絡んだタイミングが相場のポイントになる可能性がある。思い出してほしいのは、コロナショックの起きた3月(彼岸底)。この時、3月のメジャーSQ(日本3月13日、米国3月20日)絡みで先物主導により急落を招いた可能性がある。ならば、6月はその逆に先物主導でピークを打つ可能性あるのではないか。
◆そして、11日の米国市場。場中(日本時間午前2時時点)ではあるがNYダウは1500ドル安、ナスダック指数は400ポイント安、日経平均先物は700円安と急落する場面があった。5日発表の雇用統計が予想外の改善となり、株式市場は一気に買い戻しを誘って急伸した。だが、10日のFOMC(連邦公開市場委員会)を機に需給動向は流れを変えたことは否定できない。
◆コロナショックといい、その後のV字回復といい、いまは空前の規模のマネーゲーム相場で乱高下しやすく、想定外の動きをする可能性もある。動くのは落ち着きを待ってからでも遅くない。
(6月11日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース