武者陵司 「コロナが揺籃するイノベーション」

市況
2020年6月11日 13時00分

日米株価はV字回復した。4週間で4割弱の史上最速の暴落の後、10週間で5割と史上最速急騰を遂げ、コロナショック前のピーク比95%の水準に迫っている。ハイテク中心のナスダック指数は既に史上最高値を更新した。

世界的にはコロナパンデミックが依然猛威を振るっており、先進国では戦後最悪の失業増加が止まったばかりである。米国では史上最長の景気拡大が終わり、128カ月ぶりでリセッションが記録された。

その時点での株価跳躍は、尋常ではない。二番底が来るとショートを積み上げていた投資家が大きく踏み上げられ狼狽している。だが、異常な金融緩和によるバブルだと市場を批判する自己正当化は危険である。

冷徹な市場は既に次に来る経済ブームを織り込み始めている。コロナパンデミックはイノベーションの3要素、技術、資本、市場(ニーズ)を見事に揃えてくれた。

パンデミックはリモートワークなどネットデジタル化を一気に促進し、ビジネスモデルとライフスタイルを根底的に変革しつつある。この市場ニーズに対して、5Gをはじめ新技術が解を提供する競争が始まっている。そして、超金融緩和と空前の財政出動、同時に進行する株高が、巨額のリスクキャピタルを提供している。緩慢に進行していた情報ネット革命が、コロナにより一気に堰を切ったような奔流に変わった。アフターコロナの経済風景が一変することは明らかである。

とすれば、株価がコロナ前の水準に戻るどころではない、壮大な長期上昇が今アクセルを伴って始まったというべきである。悲観論者は富を失う前に方針転換を図るべきであろう。

(2020年6月10日記  武者リサーチ「ストラテジーブレティン254号」を転載)

⇒⇒ 武者陵司 新著のお知らせ 6月10日発売

⇒⇒ 「アフターコロナ V字回復する世界経済」(ビジネス社)

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.