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和島英樹の「明日の好悪材料Next」~第2回

特集
2020年6月7日 8時40分

決算発表の一巡後、再びウィズ&アフターコロナのテーマに脚光

和島英樹和島英樹(Hideki Wajima)

株式ジャーナリスト

日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年にラジオNIKKEIに入社。東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。現在、レギュラー出演している番組に、ラジオNIKKEI「マーケットプレス」、日経CNBC「デイリーフォーカス」毎週水曜日がある。日本テクニカルアナリスト協会評議委員。国際認定テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。

【今回チェックした「明日の好悪材料」記事一覧】

5月29日分

6月1日分

6月2日分

6月3日分

6月4日分

5月29日~6月4日分では、決算発表は一巡してきたが、株式市場のテーマになりそうな材料が多かった。テレワーク、教育ICT(情報通信技術)、次世代通信規格「5G」などは、利益に寄与する企業が出てきている。

自動運転の技術もさらにきめ細かくなっているし、医薬品も領域拡大はビジネスチャンス。目先で動かずとも、中長期的の流れはチェックしておきたい。

5月29日分 アステラス製薬<4503>

■好悪材料~前立腺がん治療剤「イクスタンジ」について、国内で遠隔転移を有する前立腺がんの追加適応承認を取得

同社は国内製薬大手で、泌尿器、移植分野に強みがあるが、米社買収を機に抗がん剤を第3の柱に育成中だ。イクスタンジは同社の収益を支える薬に成長。これまで、日本の医薬品はメガ・ファーマといわれる欧米の巨大製薬企業の後塵を拝してきたが、ここ数年は日本の優位性も出始めている。第一三共<4568>は2種類の薬を組み合わせてがんの治療効果を高めるADC(抗体薬物複合体)と呼ばれる製品で、商品名は「エンハーツ」。

既存の抗がん剤が効かなくなった患者へも有効な例が出始めている。第一三共ではADCの技術を使った抗がん剤候補があと2つある。ADCはアステラス製薬<4503>や武田薬品工業<4502>も手掛けており、今後注目される可能性がある。大手証券のアナリストは「ADC由来の抗がん剤は2025年に世界のトップになる可能性がある」と指摘している。

■アステラス製薬<4503>の週足チャート

【タイトル】

注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同

6月1日分 ブイキューブ<3681>

■好悪材料~上期最終を一転97%増益に上方修正。通期も増額

2020年12月期上半期の営業利益は前回予想を7500万円上回る2億2300万円(前年同期は赤字)になったと公表。上期の増額分を通期に上乗せ。売上高は新型コロナの影響で、製薬業界向けセミナーなどで未達ながら、収益性の高いサービスが堅調に推移した。

会社側の発表資料によれば、在宅勤務が急速に浸透したことで主力サービスのweb会議の新規受注のほか、就職説明会や株主総会などのオンラインソリューションの需要が急速に拡大しているとのこと。これらの収益性が高いものとみられる。

株価は4月1日に年初来高値1483円を付けている。コロナ影響でのテレワークニーズをいち早く期待した格好で、当時はいわば「理想買い」の段階。1日の発表後に高値を目指す展開で、「現実買い」の段階に入った可能性がある。

同様の感覚で、アマゾンのクラウド「AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)」の導入支援・保守代行を展開するサーバーワークス<4434>、AI(人工知能)を活用したWebセキュリティサービス「攻撃遮断くん」を提供するサイバーセキュリティクラウド<4493>など、4月に活躍した銘柄が再び動意づいている。日柄・値幅ともに一巡感が浮上しつつある。なおサイバーセキュリティクラウドは6月末割当で1対4の株式分割を実施すると6月1日に発表している。

■『株探』プレミアムで確認できるブイキューブ<3681>の業績修正履歴【タイトル】

6月2日分 アイサンテクノロジー<4667>

■好悪材料~トヨタマップマスター、三英技研と共同で「走行軌道生成装置、走行軌道生成方法、走行軌道生成プログラム、及び、記録媒体」の特許を取得

高速道路や国道などのように、車線で区切られた複数の走行レーンが並行している場合、同じ道路上のカーブであっても内側と外側では曲率が異なる。運転支援や自動運転支援では現在位置情報と目的位置情報に基づいて走行ルートを酸シュルする技術用いることが多い。

快適性や安全性を考慮すれば、複数の走行レーンがある場合にはレーンごとに異なる走行軌道を生成することが有効になる。今回の特許により、自動運転システムへの最適な走行経路の提供が可能になるという。

アイサンテクノロジーは測量、土木ソフトの開発・販売が主柱。創業以来培ってきた測量や高精度位置情報に関する技術力で、3次元位置情報移動計測装置に注力している。特に準天頂衛星などを用いた位置情報サービスの提供など、自動運転実用化支援で先行している。今回の特許は、中期的によりきめ細かい自動運転を可能にし、安全運航に資する公算が大きい。

トヨタマップマスターはナビゲーションシステムの企画開発、ナビシステム用地図データなどの調査などを展開。トヨタ自動車<7203>やデンソー<6902>、アイシン精機<7259>子会社のアイシン・エイ・ダブリュなどトヨタグループのほか、3次元地図のゼンリン<9474>、パナソニック<6752>なども出資している。

トヨタはスマートシティの建設計画があり、その中で自動運転の実用化を視野に入れているとみられる。中長期的にアイサンテクノロジーが貢献することが予想される。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。

次ページ 内田洋行<8057>、アルチザネットワークス<6778>、「和島・独自の好悪材料」は

 

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