為替週間見通し:米金融政策を巡る思惑などがドル反発を抑制か

通貨
2020年6月13日 15時04分

【先週の概況】

■米国金利の先高観後退で円買い強まる

先週のドル・円は反落。9-10日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で、新たな金融緩和策として「イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)」の導入について議論されたことや、FOMCが公表した金利見通しで現行の政策金利(0.00-0.25%)を2022年末まで維持する可能性が提示されたことから、ドル売りが優勢となった。さらに、米国の20以上の州で新型コロナウイルスの新規感染者が増加したとの報道を受けて11日の米国株式は大幅安となり、ドル・円は一時106円58銭まで下落した。

12日のニューヨーク外為市場でドル・円は、107円21銭から107円52銭まで戻した。この日発表された6月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は市場予想を上回ったことや、

米国株式の反発を受けてドル買い・円売りが優勢となった。米長期金利はやや上昇したこともドル買い材料となり、ドル・円は107円37銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:106円58銭-109円70銭。

【今週の見通し】

■米金融政策を巡る思惑などがドル反発を抑制か

今週のドル・円は上げ渋る展開か。米連邦準備制度理事会(FRB)による「イールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)」導入への市場の思惑は後退していないことから、ドル売り圧力がただちに弱まる可能性は低いとみられる。今週発表予定の米経済指標が市場予想を上回った場合、リスク回避的なドル売りは縮小するものの、新型コロナウイルス「第2波」への警戒がドルの戻りを抑制するとみられる。

FRBは6月9-10日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の据え置きや資産買入れのペースを維持することを決定した。また、FOMCの金利見通しでは2022年末まで政策金利を据え置く計画であることが提示された。YCC導入に関しては、次回のFOMC会合でも議論を継続するとみられている。FOMCメンバー内でも、低金利を維持しながら消費のテコ入れなどにYCCは有効との意見もあり、市場では年後半の導入が有力視されている。5月の米雇用統計は想定外の大幅改善をみせたが、パウエルFRB議長は10日に行われた記者会見で、雇用情勢の回復に関し引き続き厳しい見方を示した。市場観測を反映して米長期金利は低下しており、ドルの先安観が台頭しつつある。

【米・5月小売売上高】(16日発表予定)

16日発表の5月小売売上高は、前月比+7.8%で4月実績の同比-16.4%から大幅な改善が予想される。雇用情勢の改善によって、個人消費はある程度持ち直しており、小売売上高は大幅に増加する見込み。

【米・6月フィラデルフィア連銀景況調査】(18日)

18日発表の6月フィラデルフィア連銀景況調査(製造業景気指数)は、-27.5と、前月の-43.1から改善が見込まれる。ただ、製造業の急激な回復は見込みにくいとの思惑から、市場予想と一致してもドル買い要因にはなりにくい。

予想レンジ:105円50銭-108円50銭

《FA》

提供:フィスコ

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