利益成長“青天井”銘柄リスト【総集編】第1弾 19社選出 <成長株特集>

特集
2020年6月14日 19時30分

本特集では、4月下旬から5月末までの決算集中期間に随時配信した「利益成長“青天井"銘柄リスト」を、“全期間”を対象に再構成した総集編をお届けします。今回は総集編 第1弾として、時価総額600億円以上の東証1部銘柄を対象に、20年1-3月期に四半期ベースの過去最高益を更新し、かつ通期計画も最高益を見込む、いわゆる利益が“青天井”状況になっている銘柄をリストアップした。

下表では、本決算月にかかわらず、直近3ヵ月実績の1-3月期に経常利益が全四半期ベースで過去最高益を上回って更新した銘柄をピックアップ。さらに、会社側が今期(通期計画)も過去最高益見通しを示している19社を選び出し、1-3月期経常利益の過去最高益に対する上振れ率が大きい順に記した。

上振れ率トップとなったのは、半導体の製造工程に使う特殊ガス供給装置と特殊ガス販売を主力とするジャパンマテリアル <6055> 。1-3月期(第4四半期)はIoTや5G(第5世代移動通信システム)の普及でデータセンター向け半導体の需要が回復するなか、半導体工場向け特殊ガスの供給配管設計施工案件が集中し、経常利益は過去最高を42.3%も上回る30.9億円に拡大して着地。併せて発表した21年3月期の同利益は前期比5.7%増の86億円と8期連続で過去最高益を更新する見通しだ。

2位のグレイステクノロジー <6541> は好採算のコンサルティング案件が増加したほか、マニュアルをクラウド上で管理・制作するe-manualの導入が進み、1-3月期(第4四半期)の経常利益は過去最高だった前年同期を38.2%上回る3.2億円に膨らんだ。21年3月期は9期連続の最高益更新を目指す。足もとでは テレワークの導入や業務改善のために業務マニュアルの見直し依頼が殺到するなど、新型コロナウイルス禍でも躍進が期待される。

3位に入った日産化学 <4021> の1-3月期(第4四半期)は機能性材料部門でスマートフォンやテレビ向けディスプレー材料、半導体用反射防止コーティング剤がそれぞれ好調だった。また、農業化学品部門では昨年5月から国内販売を開始した自社開発の殺虫剤「グレーシア」の出荷が大きく伸び、経常利益は4四半期ぶりに過去最高を更新した。21年3月期は7期連続の経常最高益と9期連続の増配を見込む。同社は配当と自社株取得を合計した総還元性向の目標を75%に設定するなど、株主還元に積極姿勢をみせる。

4位のTKC <9746> の1-3月期(第2四半期)経常利益は前年同期比46.4%増の45.6億円に拡大し、20四半期ぶりに最高益更新を果たした。幼児教育・保育の無償化にかかるシステム改修案件が大きく伸びた。また、会計システムのユーザー数増加に加え、「Windows7」サポート終了に伴うパソコン買い替え需要の継続も追い風になった。上期(19年10月-20年3月)経常利益の通期計画に対する進捗率は73.9%に達しており、業績上振れが期待される。

選出リストには、10年以上ぶりに四半期ベースの最高益を更新した企業が3社入った。7位にリストアップされたネットワンシステムズ <7518> の1-3月期(第4四半期)は、セキュリティ対策やクラウド基盤のシステム構築案件が伸びたうえ、注力分野であるスマートファクトリー関連なども好調だった。また、第3四半期に受注した機器中心の5G案件も寄与し、経常利益は実に16年ぶりとなる四半期ベースの最高益更新を果たした。株価は約19年ぶりの高値圏を快走する展開となっている。

16位の富士ソフト <9749> は自動車や電子機器向け組み込みソフトに強みを持つ独立系のソフト開発大手。1-3月期(第1四半期)はシステム構築分野で社会インフラや自動車関連の組み込み・制御系ソフトのほか、流通・サービスや製造業向けを中心とする業務系ソフトがそれぞれ伸び、経常利益は前年同期比14.0%増の45.5億円で着地。62四半期ぶりに過去最高を塗り替えている。

18位のショーボンド <1414> は橋梁や高速道路、トンネルなどの補修・補強工事を主力とする。1-3月期(第3四半期)は豊富な手持ち工事の施工が順調に進み、経常利益は前年同期比6.3%増の45.7億円と10年ぶりの過去最高益を達成した。足もとでは高速道路会社から10億円を超える大型工事を複数受注するなど受注環境は良好で、持続的な成長が期待できそうだ。

 ┌─ 四半期 経常利益 ─┐ ┌── 通期 経常利益 ──┐ 予想

コード 銘柄名     上振れ率 1-3月期 過去最高 上振れ率 今期予想 過去最高  PER

<6055> Jマテリアル   42.3  3096   2176    5.7   8600   8133 28.3

<6541> グレイス     38.2   329   238   23.1   1166   947 87.1

<4021> 日産化      27.9  17530  13707    1.0  40400  40003 24.9

<9746> TKC      25.5  4568   3640    0.0   9670   9669 21.6

<3636> 三菱総研     17.6  6126   5209    6.0   7000   6605 10.4

<6080> M&Aキャピ   15.9  2271   1959    0.9   5905   5855 31.1

<7518> ネットワン    15.4  6626   5743    2.6  17000  16563 24.9

<1417> ミライトHD   15.3  12845  11142    0.4  23300  23207 10.1

<3788> GMOクラウ   15.2   493   428    5.4   1570   1490 73.2

<3844> コムチュア    14.9   833   725    6.2   3045   2867 43.0

<6028> テクノプロH   13.5  4897   4316   10.0  15100  13727 22.9

<2175> エスエムエス   12.6  2945   2616    1.6   6459   6355 46.0

<9682> DTS       9.5  3179   2903    0.0  10850  10849 14.2

<2412> ベネ・ワン     8.3  2459   2270    7.5   9100   8462 54.8

<2331> ALSOK     7.7  11881  11033    0.8  39200  38880 21.4

<9749> 富士ソフト     6.9  4556   4263    0.7  13850  13749 16.9

<8771> イー・ギャラ    3.9   738   710    9.1   3000   2751 44.1

<1414> ショーボンド    3.4  4578   4429    3.6  12600  12165 31.3

<2491> Vコマース     2.6  1523   1485   10.3   5500   4988 24.9

※ 2019年1月以降に上場した企業と今期見通しを開示していない企業は除いた。四半期の過去最高益は原則、四半期決算の開示が本格化した2003年4-6月期以降の業績に基づいたものです。

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