米国株式市場見通し:FRBの銀行ストレステストに注目
ニューヨーク市が経済再開の第2段階を22日から開始するなど全米で経済活動の再開が進むとの期待が広がる一方で、アップルが感染拡大の目立つ4つの州で店舗を再び閉鎖することが明らかとなり、ウイルス感染第2波のリスクも高まっている。株式投資家の恐怖心理の度合いを示す指数VIXも高止まりしている。バンク・オブ・アメリカの調査によると、ヘッジファンドマネジャーの78%が最近の株価が「過大評価されている」と回答しており、1998年以来で最も高い水準となった。一方で、当局による積極的な金融緩和と景気刺激策期待で下値も支えられるもみ合いが予想される中、米FRBが25日に公表する大手行を対象としたストレステストの結果に注目が集まる。
FRBが大手行に減配や配当見送りを促すことができるかどうかに焦点が集まりそうだ。JPモルガンのダイモンCEOは資本が規定の水準を割り込む、または、当局による強制的な指示がなければ減配する意向はないとの考えを示している。問題は、これまで最悪のシナリオとして用いられてきた様々な所与条件や変数が現実のものとなり、現在の環境下で改めてどのような状況をストレスとして定義するかだ。今回は特別にウイルスパンデミックへの対応として、V字型、U字型、W型回復のシナリオ設定が加えられている。
パウエル議長はパンデミック危機入りする直前の金融機関の資本状況は非常に強く、2008年の金融危機のような事態は予想していないとしながらも、企業破たんが拡大した場合、今後は金融機関の脆弱性が主要リスクになりうると警告している。失業率の上昇で住宅ローンやクレジットカードの返済など、消費者ローン全般の貸し倒れも増加することが予想される。
経済指標では、5月シカゴ連銀全米活動指数(22日)、5月中古住宅販売(22日)、5月新築住宅販売(23日)、6月リッチモンド連銀製造業指数(23日)、4月FHFA住宅価格指数(24日)、1-3月期国内総生産(GDP)確定値(25日)、5月PCEコアデフレーター(26日)、6月ミシガン大学消費者信頼感指数確定値(26日)などの発表が予定されている。
企業決算では住宅建設のKBホームズ(24日)、スポーツ用品ブランドのナイキ(25日)、スパイス調味料のマコーミック(25日)、レストラン運営のダーデンレストラン(25日)などが予定されている。マコーミックは外出規制により自宅で料理する機会が増え収益増が期待される。一方、ナイキは中国や韓国、オンラインの売上増が予想されるものの今四半期の米国経済封鎖の影響を相殺することはできないだろう。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》