緩和マネーの行方は? 業績と株価のギャップが語るもの <東条麻衣子の株式注意情報>
新型コロナウイルスの感染再拡大や経済回復の行方を懸念する声はあるものの、株式市場は堅調な推移を続けている。だが、ここ2週間程度の間に相場に変化が生じてきたように感じる。
■FOMC発表に下落で応じたマーケット
6月10日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、2022年まで政策金利のゼロ付近での維持と米国債・モーゲージ債の現行ペースでの買い入れを継続する方針が示された。
FOMC声明の発表以前の過剰流動性相場であれば、低金利の継続は好材料として受け止められてもおかしくはなかったが、 NYダウは大幅な下落を見せた。
なぜ、株式市場は下落で反応したのか。
筆者は、10-12月期および21年1-3月期に対し市場が求めている業績と、株価の間にあるギャップを埋めにきたのではないかと考えている。
■埋められない窓
NYダウの日足チャートを見ると、10-11日に開けた窓を依然として埋められずに推移している。
これは、過剰流動性だけでは業績を無視してまで、相場全体をこれ以上押し上げる力はないことを物語っており、NYダウは8日高値の2万7580ドルを更新できない可能性があるのではないか。
米国、日本市場ともに金融・経済政策が相場の下値を支えるとみられるものの、筆者は今後、指数に連動する運用成果を目指すパッシブ運用よりも、アクティブ運用のパフォーマンスが良くなる相場展開を予想している。それ故、投資においては個別銘柄を正しく判断することがより重要になってくるだろう。
■低空売り比率のセクターに資金集中か
6月に入ってからの空売り比率の平均は41.125。同期間の業種別の空売り比率の低かったものを挙げると、
1位 医薬品 36.175
2位 精密機器 36.181
3位 鉱業 36.312
4位 情報通信 36.862
5位 保険 36.8
となっている。米国市場においても、GAFA(グーグル=アルファベット、アップル、フェイスブック、アマゾン)やテスラ、仮想通貨関連といった一部銘柄に緩和マネーが集中している。先高観の強い銘柄がさらにマネーを呼び込み上昇していく構造である。
日本市場でも、空売り比率の低いセクターに同様に資金が集中し続けるのではないだろうか。
◆東条麻衣子
株式注意情報.jpを主宰。投資家に対し、株式投資に関する注意すべき情報や懸念材料を発信します。
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