キューブシステム:前期は増収減益・増配、今期は最高益更新に再挑戦

材料
2020年7月2日 10時45分

アルファ・ウイン・キャピタル株式会社は、株式会社キューブシステム(東証一部上場、コード:<2335>、中西社長)の2020年3月期決算発表を踏まえ、調査レポートを発行した。要旨は以下の通り。

事業内容

・株式会社キューブシステム(以下、同社)は、東証一部に上場する独立系の中堅システムインテグレーター(SI)である。野村総合研究所や富士通グループなどが主要取引先で、金融・流通・通信業種向けを中心にシステムを開発し、サービス提供を行う。1972年に設立され、業歴約48年を有する。

業績動向

・同社は過去22年間において一期間を除き、対前年度で増収を継続している(単独決算時代も含む)。この間、売上高成長率(増収率の単純平均値)は年率+7.0%、経常利益成長率(同)は+8.3%と、長期間にわたり順調に業容を拡大し、常に黒字を維持している。積極的な事業展開と経営改革が奏功し、売上高経常利益率は7%前後(平均7.2%)で安定し、増収が増益、増配、時価総額の増大に直結している。

・前期(2020/3期)決算は、会社の期初計画を売上高・営業利益とも、それぞれ約5%、12%下回ったものの、売上高は147億円で2.7%の増収、営業利益は9.6億円で4.1%の増益となった。売上高は過去最高値を7期連続で更新し、営業利益・経常利益ともに過去最高益に迫る水準となった。但し、特別損失を計上したため、当期純利益は11.9%の減益となった。なお、2円増配し、一株当り18円を配当した。

・今期(2021/3期)は売上高160億円(8.8%の増収)、営業利益約11.2億円(16.8%の増益)、当期利益7億円(33.3%の増益)と、過去最高売上高と同各利益の更新、18円配当の維持を会社は計画している。新型コロナの影響などビジネス環境は不透明ではあるが、主要アカウントやIT投資関連への営業強化、DXビジネスの新規開拓により増収を見込んでいる。また、増収効果に加え、採算性・生産性の向上に努め、大幅な増益を予想している。

・アルファ・ウイン調査部は、新型コロナによるリスクと会社前提を考慮し、今期の業績予想を会社計画よりも、やや慎重に予想した。但し、売上高・利益は、過去最高値を更新する可能性はあると判断している。

競争力

・優良な顧客基盤、これまでの豊富な実績と高い信頼性、技術とノウハウの蓄積が強みである。事業領域、及び業容の拡大と共にプロジェクトへの対応力が向上し、競争優位性も増しつつある。

経営戦略

・中長期経営ビジョンのV2020 では、最終年度となる今期に売上高185億円、営業利益1,776百万円(利益率9.6%)、ROE13%を目標としていたが、現時点では上記の予想数値が発表されている。一方、エンハンスビジネスを主として拡大と収益力向上に努める一方、成長領域であるDX・クラウド・アジャイル開発・ブロックチェーン・AI・IoT関連等の新分野にも注力し、将来の事業展開に向け準備を行っている。今後は、プロジェクトマネジメント能力の向上、利益率の持続的な改善、新事業領域ビジネスの収益化、新規顧客の開拓、人材育成と確保、M&Aや提携戦略、グローバル化、新技術への対応が鍵となろう。

・2020年6月より中西氏が、新たに代表取締役 社長執行役員 兼CDO (前常務、野村総合研究所出身)に就任した。来年度からスタートする次期中計(V2026)では、受託型ビジネスに加え企画型ビジネスを積極的に展開し、エンハンスビジネスをベースにSIビジネス、並びにデジタルビジネスを強化する方針である。今後の具体策の発表と、新社長の手腕とその成果に注目していきたい。

中期業績予想

・顧客である国内企業の業績やシステムの投資動向に、業績は影響を受ける。中長期的には、ユーザー企業等のIT投資は継続的な拡大が見込め、同社の得意とするエンハンスビジネスの拡大、新規顧客開拓、新規ビジネスへの展開、生産性の向上により、年率6~10%前後の安定した増収、増益が可能であると当調査部では予想している。

株主還元

・これまで自社株買い、株式分割、段階的な増配など、積極的に株主還元を行ってきた。配当に株主優待による利得を加えると、実質的な利回りは最大約2.5%となる。また、予想配当性向は約35%と同業種内では平均的であるが、純資産配当率(直近実績値)は4.5%と高い水準である。好業績と豊富なキャッシュを背景に、今後も自社株買いや増配、株主優待の拡充などの株主還元策が期待される。

株価特性、及び株価水準

・内需中心の安定成長株でディフェンシブな特徴があり、中長期的な投資対象と思われる。同業種内では今期の業績見込みは相対的に良好で、かつPERやPSRのバリュエーションでは、やや割安である。また、過去約11年間では同社の株価は約4倍に上昇し、かつTOPIXを大幅にアウトパフォームしている。株価面では、今期業績の進捗度、来期以降の業績動向に加え、DXやAI関連の新技術・新分野への展開、他社との連携・M&Aや株主還元の強化にも注目したい。

レポートはこちら

(出典)アルファ・ウイン・キャピタル株式会社

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