逆風下の最高益、四半期【大復活】銘柄リスト <成長株特集>
本特集では、2日に配信した「逆風下の最高益、四半期【連続更新】銘柄リスト」に続き、新型コロナウイルスの感染拡大という強烈な逆風が吹き荒れるなか、直近3ヵ月決算で四半期ベースの過去最高益を数年ぶりに更新した“大復活銘柄”を探った。
以下では、時価総額100億円以上の銘柄を対象に、直近3ヵ月(1-3月期または2-4月期)に経常利益が全四半期ベースの過去最高を20四半期(5年)以上ぶりに更新した27社を選び出し、「最高益更新の間隔期数が大きい」→「上振れ率が高い」順に記した。
最高益更新の間隔期数トップとなったのは、ネットワーク構築大手のネットワンシステムズ <7518> 。1-3月期(第4四半期)の経常利益は前年同期比30.6%増の66.2億円に伸び、実に16年ぶりとなる四半期ベースの最高益更新を果たした。セキュリティ対策やクラウド基盤のシステム構築案件が伸びたうえ、注力分野であるスマートファクトリー関連なども好調だった。また、第3四半期に受注した機器中心の5G案件も寄与した。併せて発表した21年3月期の同利益は前期比2.6%増の170億円と2期連続最高益を目指す。
2位の東洋合成工業 <4970> [JQ]はEUV(極端紫外線)向けを含む先端向け感光性材料の需要が大きく増加し、1-3月期(第4四半期)の経常利益は63四半期ぶりに過去最高益を達成した。21年3月期は感光材工場などの固定費が増加し、経常利益は前期比17.5%減の17億円を見込むが、5G(次世代高速通信規格)インフラやデータセンター向けの半導体需要が拡大するなか、成長期待は大きい。株価は6月2日に未踏の9000円大台乗せを果たしている。
3位に入った富士ソフト <9749> の1-3月期(第1四半期)経常利益は前年同期比14.0%増の45.5億円に伸び、62四半期ぶりに過去最高を塗り替えた。システム構築分野で社会インフラや自動車関連の組み込み・制御系ソフトのほか、流通・サービスや製造業向けを中心とする業務系ソフトがそれぞれ伸びた。
富士ソフト子会社で23位にリスト入りしたヴィンクス <3784> は、小売業におけるキャッシュレス化やマルチベンダー化のニーズが高まるなか、グループ再編に絡む基幹システム対応案件やドラッグストア向けPOSシステム開発などの受注が伸び、1-3月期(第1四半期)経常利益は前年同期比25.4%増の7.7億円で着地。上期計画9.5億円に対する進捗率は80.8%に達しており、業績上振れが期待される。
選出リストには、企業の旺盛なIT投資需要を取り込んだ情報・通信業が目立つ。独立系ソフト会社のKSK <9687> [JQ]、ITコンサルティングとシステム開発を主力とするビジネスブレイン太田昭和 <9658> 、情報処理大手でマイナンバー関連としても人気が高いTKC <9746> 、NEC系システムインテグレーターのNECネッツエスアイ <1973> などがリスト入りしている。
続いて、株価が決算発表後に高値を更新した銘柄を見ていく。7位にリストアップされた東京エレクトロン デバイス <2760> の1-3月期(第4四半期)は、コンピュータシステム関連事業でネットワーク機器の販売が製造業、データセンター、公共教育機関向けに大きく伸び、13年ぶりの四半期最高益と大復活を遂げた。21年3月期は新規顧客の商権を取り込む半導体及び電子デバイス事業の業績回復などで、経常利益は前期比14.7%増の41億円に伸びる見通しだ。株価は半導体関連人気の波にも乗り、約16年ぶりの高値水準で推移している。
19位の野村マイクロ・サイエンス <6254> [東証2]は韓国、中国、台湾の半導体関連企業から受注した案件の工事進捗が遅れたものの、水処理装置の利益率改善と好採算なメンテナンスや消耗品の販売増加で、1-3月期(第4四半期)の経常利益は28四半期ぶりの最高益更新となった。株価は07年11月以来、約12年8ヵ月ぶりの高値圏を快走する展開が続く。
21位のアンリツ <6754> は5G開発需要が旺盛なアジアや日本を中心にモバイル市場向け開発用計測器の販売が伸び、1-3月期(第4四半期)の税引き前利益は前年同期比69.3%増の59.4億円に膨らんだ。21年3月期は新型コロナウイルス感染拡大の影響で上期は市場が停滞するものの、下期の需要回復でカバーし、4期連続の増益を計画する。好決算を背景に、株価は6月29日に約19年4ヵ月ぶりとなる2600円台回復を遂げている。
最高益 ┌─── 経常利益 ───┐ 予想
コード 銘柄名 間隔期数 上振れ率 直近四半期 過去最高 PER
<7518> ネットワン 64 15.4 6626 5743 26.2
<4970> 東洋合成 63 16.3 655 563 60.2
<9749> 富士ソフト 62 6.9 4556 4263 16.8
<9509> 北海電 60 3.4 24716 23895 -
<7911> 凸版 56 35.4 36660 27079 -
<6363> 酉島 52 52.1 3154 2074 -
<2760> 東エレデバ 52 28.1 1578 1232 13.0
<9687> KSK 52 27.0 672 529 -
<9658> ビジ太田昭 52 2.9 747 726 -
<4644> イマジニア 51 2.2 640 626 14.1
<8802> 菱地所 48 1.2 85345 84374 19.2
<1968> 太平電 46 37.9 4205 3049 -
<7702> JMS 41 9.7 952 868 12.0
<1414> ショーボンド 40 3.4 4578 4429 31.1
<1949> 住友電設 32 22.1 4438 3634 -
<8131> ミツウロコG 32 1.0 3321 3288 18.6
<4784> GMO-AP 30 12.8 352 312 50.0
<1952> 新日空調 28 16.1 4458 3839 -
<6254> 野村マイクロ 28 6.2 858 808 15.0
<9233> アジア航 24 23.6 3383 2737 13.6
<6754> アンリツ 24 20.2 5946 4947 25.1
<2362> 夢真HD 24 17.1 1887 1611 10.7
<3784> ヴィンクス 22 1.3 774 764 19.1
<7476> アズワン 20 26.6 2847 2248 47.3
<9746> TKC 20 25.5 4568 3640 22.5
<6508> 明電舎 20 2.8 17040 16583 16.0
<1973> NESIC 20 1.5 7742 7626 -
※四半期の過去最高益は原則、四半期決算の開示が本格化した2003年4-6月期以降の業績に基づいたものです。経常利益の単位は百万円。予想PER「-」は今期最終利益予想を非開示とする企業。
株探ニュース