カドカワ Research Memo(4):2020年3月期はドワンゴの事業構造改革効果で大幅増益を達成

特集
2020年7月16日 15時44分

■業績動向

1. 2020年3月期の業績概要

KADOKAWA<9468>の2020年3月期の連結業績は、売上高が前期比1.9%減の204,653百万円、営業利益が同198.7%増の8,087百万円、経常利益が同108.9%増の8,787百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が8,098百万円(前期は4,085百万円の損失)となり、ここ2期低迷していた利益は3期ぶりに営業利益で80億円台の水準まで回復した。前期に事業構造改革を実施したドワンゴの収益改善によるもので、Webサービス事業の営業利益だけで5,364百万円の増益要因となっている。

売上高が前期比微減となったが、これは子会社だったMAGES.が第2四半期以降、連結対象から外れたことが主因で、影響額は約4,700百万円となっている。同要因を除けば0.4%の増収であった。一方、営業利益の増益要因は前期に事業構造改革を断行したドワンゴの収益改善効果によるもので、Webサービス事業の営業利益だけで前期比5,364百万円の増益要因となっている。

売上原価率が前期の72.7%から68.3%まで低下したが、主な改善要因を見ると、外注費で2.0ポイント、減価償却費で0.8ポイント、支払手数料で0.4ポイントそれぞれ改善しており、特に、外注費の削減効果が大きく寄与した(前期比4,442百万円減)。一方、販管費率については、売上高の減少や広告・販促費、人件費の増加等もあって、前期から1.7ポイント上昇した。

営業外収支では、金融収支が117百万円改善した一方で、為替差損益が前期比558百万円悪化したほか、持分法投資利益が157百万円減少した。また、特別利益として固定資産売却益1,606百万円※1や関係会社株式売却益791百万円、受取和解金585百万円※2などを計上したほか、法人税負担も少なかったことから、親会社株主に帰属する当期純損益は大幅に改善した。

※1 主に連結子会社の(株)ビルディング・ブックセンターが所有する土地・建物の売却益。

※2 連結子会社において発生した取引先の契約違反等に起因する損害についての和解金。

2019年11月に修正発表した会社計画との比較では、売上高で2,346百万円、営業利益で1,912百万円下回ったが、主には新型コロナウイルスの影響によるものとなっている。一時的な要因として、2020年3月6日に公開された映画「Fukushima 50」の興行が映画館への来場者数減少により不調に終わったことや各種イベントが中止されたことなどにより1,100百万円の減益となったことに加え、持続的な要因としてMD事業における発売延期やアニメ製作延期によるメディアミックス作品の出荷延期等で500百万円の減益となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《EY》

提供:フィスコ

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.