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2020年8月2日 9時00分
市況

ユーロの夏フェス【フィスコ・コラム】

外為市場では、久々にユーロが脚光を浴びています。経済情勢や地政学リスクでドルの最強安全通貨としての魅力が薄れたことが背景にあり、ユーロが受け皿として選好される地合いです。熱を帯びたユーロ相場から、しばらく目が離せません。

7月17日から開催された欧州連合(EU)首脳会議での復興基金創設に関する議論は、新型コロナウイルスによる打撃で景気後退に陥った南欧諸国と財政規律を重視する加盟国に分かれ、調整が難航。同21日に妥協案が合意に達しました。ユーロは合意前から期待先行で上昇基調に振れていましたが、加盟国間の格差など難問を抱え、心理的節目の1.15ドルを上抜けるのは困難とみられていました。

ところが、最近発表された域内の経済指標はまだら模様ながらも、製造業やサービス業のPMI(購買担当者景気指数)は景気拡大・縮小の境目である50を上回っています。市場は新型コロナ再流行が深刻化するアメリカへの優位性にも着目。また、ハト派姿勢に突き進む連邦準備理事会(FRB)とは対照的に欧州中銀(ECB)は一定の歯止めをかけており、基金創設の合意をきっかけにユーロ買い・ドル売りが加速します。

やはり、7月22-23日にかけての1.15ドル突破が流れを変えたのは間違いありません。市場参加者が慌ててユーロ買いを進めたことでさらに勢いづいた、というのが真相ではないでしょうか。その後も1.16ドル、1.17ドルと次々に節目のポイントを上抜けており、このペースを維持できれば2018年4月以来、2年超ぶりの1.20ドルが視野に入りそうです。この動きに、ポンドや豪ドルなども追随しています。

振り返ってみると、ユーロ圏経済は18年当時、景気の安定的な回復が示されていたのにもかかわらず、ドラギ体制のECBは緩和の是正に慎重姿勢を取り続けていました。ユーロはこの年の序盤に1.25ドル台で伸び悩んだ後、下げに転じ、今年3月のコロナ危機まで約2年間の下落トレンドを形成しています。ユーロ主導の相場展開など、考えてみればずい分久しぶりです。

ただ、市場では当面のユーロ上昇基調の見方でおおむね一致するものの、ユーロは対ドルで7月以降に5%以上も水準を切り上げており、一部には過熱感も指摘されます。今後はどこまで、そしていつまで上昇トレンドが続くでしょうか。それは「ドル次第」です。新型コロナの深刻化や雇用情勢の回復鈍化、そして米中対立の地政学リスクでドル売り継続が見込まれるため、ユーロ選好地合いは続くとみられます。

欧州にも新型コロナ第2波リスクがあるため、ユーロ買いは夏限定かもしれません。しかし、秋以降もユーロ買いが続くなら、転換点はやはり11月の米大統領選でしょう。結果の判明を受け、積み上がったユーロ買い・ドル売りポジションはいったん整理されるとみます。選挙結果までは読み切れませんが、タカ派のバイデン政権が発足すればFRBに変化をもたらし、足元のドル売りを一変させるシナリオも考えられます。

※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。

(吉池 威)

《YN》

提供:フィスコ

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