【杉村富生の短期相場観測】 ─夏相場は高値波乱の状況下、個別物色の展開に!
「夏相場は高値波乱の状況下、個別物色の展開に!」
●中国の「IT自力更生計画」に脚光!
8月相場は株価指標(日経平均株価、NYダウなど)的には高値波乱の展開となろう。指摘しているように、日経平均株価は6月8日の2万3178円、NYダウは同じく6月8日の2万7572ドル(終値ベース)が目先の高値形成となった可能性が強い。この水準を短期間にクリアできないと、下ブレのリスクが浮上する。
ただし、2~3月のような大崩れは考えにくい。ドラスチックな政策対応の効果に加え、日本企業には中国政府の「IT自力更生計画」(半導体の国内調達とハイテク分野育成)のメリット(特に、半導体製造装置・部材の供給)がある。
したがって、この局面はインデックス(森)を語らず、これまで同様、テーマ性を有し、好業績・好需給の銘柄(木)を個別に攻める投資戦術が有効だろう。
具体的には中堅企業に対するIT支援ビジネスのライトアップ <6580> [東証M]、ブリッジインターナショナル <7039> [東証M]、半導体・有機EL関連の平田機工 <6258> 、GIGAスクール構想に乗るパソコン販売のアプライド <3020> [JQ]、空気清浄機のポエック <9264> [JQ]などに注目できる。
モーニングスター <4765> [JQ]の足元の業績はさえない。コロナショックの影響(IRセミナーなどイベントの開催はほとんど中止)だ。しかし、20年3月期は15円配当を行っている。時価の410円絡みは配当利回りが3.7%ある。それと、地銀との連携は親会社のSBIホールディングス <8473> の戦略に沿う。
●国際マネーの「ユーロシフト」が浮上!
外部環境はどうか。まず、円高進行(1ドル=104円台)には注意を要する。国際マネーの一部は欧州復興基金(約92兆円)の創設を「共同債務と財政移転に道筋をつけるもの」(ユーロの父と呼ばれるロバート・マンデル博士の「最適通貨圏の理論」の実践)と判断、「ユーロ不安は後退した」とし、イタリア国債などに向かっている。
これはドル安、NY市場波乱の要因となる。次の焦点はアメリカ大統領選挙の行方だ。現状は支持率において、民主党のバイデン候補がトランプ大統領に10ポイント前後の差をつけている。バイデン候補の政策は大きな政府、そして増税である。連邦法人税率の引き上げ(21%→28%)、個人所得最高税率の引き上げ(36%→39.6%)、トランプ減税の撤回などを主張している。
半面、地球環境にはやさしい。さらにパリ協定、イラン核合意への復帰を表明、TPP(環太平洋パートナーシップ)には賛成の立場だ。シェールガス・オイルの開発は規制を強化する。バイデン大統領誕生となればグリーンエネルギー、社会資本整備関連セクターが人気化する可能性があろう。
中・長期スタンスだが、資源リサイクルのリバーホールディングス <5690> [東証2]、太陽光発電事業、5G関連の多摩川ホールディングス <6838> [JQ]、売上高の87%がグリーンエネルギーのAbalance <3856> [東証2]などはバイデン銘柄である。
2020年7月30日 記
株探ニュース