来週の株式相場戦略=決算発表ピーク越え、半導体株の動向がカギ
8月第1週(3~7日)の日経平均株価は前週末比619円高の2万2329円と大幅上昇。ただ、週後半は戻り売り圧力の強さが身に染みる地合いとなった。
今週の日経平均は週明け3日に500円近い上昇でスタートし、翌4日も大きく買われ、リスクオンモード一色にいったんは傾いた。前週末まで6営業日連続で下落し、この間に1100円以上も下げていたわけで、その反動の戻りがあって不思議はなかったが、それにしても週前半の急速な切り返しは想定しづらいところだった。決算発表を絡めたロング・ショート戦略がハイボラティリティ相場を演出し、短期筋はそれに振り回される格好に。しかし、水曜日からはガラッと趣きが変わる。日経平均が2万2500円を超えてくると戻り売りを浴び、どうにも上値が重い印象を投資家の脳裏に植え付けた。
そしてきょう7日は、前日の米国株市場で上げ基調が続き、特にハイテク株比率の高いナスダック総合指数は連日で最高値街道を走っている状況にもかかわらず、これに追随することができなかった。引け際下げ渋ったものの結局、日経平均は前日比88円安の2万2329円と3日続落となった。来週も薄商いのなかで基本的にボックス圏推移が続きそうである。日経平均のレンジは2万1900~2万2800円とみておきたい。週末にオプションSQ算出を控え、週央あたりに先物主導でボラティリティが高まる可能性もある。
きょうは巣ごもり消費の一角で、外出自粛の動きを背景にゲーム関連が人気。それもゲーセク関連(ソーシャルゲーム関連)とは範疇を異にした任天堂<7974>を筆頭とする王道株が強い動きをみせた。スクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>は一時ストップ高。バンダイナムコホールディングス<7832>も値を飛ばした。一方で、これまで全体相場のリード役を務めていた半導体関連の主力株が利益確定売りのターゲットとなった。
半導体関連については、前週末に決算悪でストップ安に売り込まれたアドバンテスト<6857>がミソを付けたと言ってしまうのは憚(はばか)れるが、事実ここから流れが変わった。今6月期2ケタ増益見通しでも市場期待に届かなかったレーザーテック<6920>が、きょうは75日移動平均線を下放れ崩れ足となったほか、7~9月期最終2ケタ減益予想を開示したSUMCO<3436>も売りを浴びた。主力半導体セクターはこれまでの中期上昇トレンドに黄信号が点灯、安易に押し目買いを入れにくい状況にある。もっとも、好決算を素直に好感された日本電子材料<6855>やホロン<7748>はストップ高に買われる人気となっており、一様に半導体関連が売られているということではない。ポイントを挙げれば、業績はもちろんだが、やはりモノをいうのはチャートの位置や株式需給だ。決算絡みでは、市場の期待を集めスポットライトを浴びてきた時間が長い銘柄ほど下値リスクを内包する。
資金の流れだけを見れば、半導体関連株が目先引き潮となり、代わりに ゲーム関連が上げ潮に乗ったようにもみえるが、全体相場の牽引役を担うのは難しい。半導体セクターに売り一巡感が出て、バランスを立て直すまで日経平均もしばらくは上値が重そうだ。
きょうの700社あまりの決算発表を通過して、来週以降はマーケットの耳目を集めるような決算はだいぶ少なくなる。そのなかで、カギを握るのが11日に発表が予定されるワークマン<7564>と12日に予定される日本マクドナルドホールディングス<2702>だ。きょうはメルカリ<4385>が前日の決算を好感され大幅高に買われたが、現在ジャスダックとマザーズを合わせた新興市場で上記3社は時価総額で上位3傑を占めている。ちなみに、きょうはメルカリが11%近い上昇で時価総額8000億円に乗せ、ワークマンの時価総額をわずか2億円強上回り首位の座を逆転させた。
日程面では、来週は週明け10日が山の日で東京株式市場は休場となるが、同日に7月の中国生産者物価、7月の中国消費者物価など中国で重要経済指標が控える。国内では3連休明けの11日に7月の景気ウォッチャー調査、12日に7月の工作機械受注、13日に7月の国内企業物価指数などが開示される見通し。海外では、11日に8月の独ZEW景況感指数、7月の米生産者物価、12日に英4~6月期GDP、7月の米消費者物価、13日に7月の米輸出入物価、14日に7月の中国工業生産、7月の中国小売売上高、7月の米鉱工業生産・設備稼働率、7月の米小売売上高などが予定される。
(中村潤一)