【杉村富生の短期相場観測】 ─絶好調のNY市場と素直さに欠ける東京市場!
「絶好調のNY市場と素直さに欠ける東京市場!」
●ウォール街ではFedに逆らうな、という!
NY市場は絶好調である、抜群に強い。国際マネーが大挙し、アメリカに向かっている。一方、日本市場の値動きはいまひとつだ。こちらは素直さに欠ける。やはり、日経平均株価などインデックスは高値波乱の展開だろう。
だからこそ、夏相場では総論(森)を語らず、各論(木→銘柄)勝負と主張している。そう、基本的に個別物色だ。日経平均株価は7月31日が629円安、8月3日が485円高、4日が378円高だった。乱高下というか、メチャクチャである。
株式指標をしげしげと眺めていると、「売りだッ」となったり、今度は一転して「買いだッ」と右往左往する結果を招いてしまう。いや~、方向感が乏しい。トレンドが読みづらい。なぜ、そうなるのだろうか。
この背景には市場参加者の少なさがある。機関投資家の主軸のうち、株式はアメリカに、債券はユーロ(特に、イタリア国債)にシフトしていることがあろう。実際、東証1部の売買代金は2兆円そこそこ。エネルギーがなかなか膨らまない。時価総額は593兆円にとどまっている。
半面、NY市場(ナスダック市場を含む)はすごい。時価総額は3726兆円を超え、日本市場の6倍強だ。かつて、日本市場が上回っていた時代があったのだが…。名目GDP(2038兆円)の1.8倍になる。これに対し、日本市場の時価総額の名目GDP比率は1.2倍弱にすぎない。日本市場は「出遅れ?」。いや、それは違う。
アメリカ市場は世界中のカネを集めている。もちろん、FRBと連邦政府は4~6月に、530兆円の資金(ドル)をばらまいた。この金額は四半期ベースのGDPを上回る。ウォール街では「Fedに逆らうな」というが、こんな事態は建国以来、初めてのこと。未曾有の過剰流動性がアップルの時価総額を約200兆円に押し上げた、といえる。
●基本的に個別物色!狙う銘柄は…
物色面はどうか。狙うのは好業績、テーマ性内包、かつチャート妙味の銘柄(外部環境、先物の影響を受けにくい小物)だ。具体的にはオンラインセミナーのイノベーション <3970> [東証M]、テレビ通販のアイケイ <2722> [東証2]、ネット広告評価のイルグルム <3690> [東証M]などに注目できる。
このほか、やや中・長期投資スタンスになるが、3月IPO銘柄の“不振組”はじっくり拾っておきたいと思う。
2008~2010年のリーマン・ショック時のIPO銘柄は今回のコロナショック時と同様、上場時は軒並みさえなかった。しかし、公開価格~直近高値の上昇率をみると、ホシザキ <6465> は10倍、FPG <7148> は8倍、トランザクション <7818> は9倍(株式分割を考慮)となっている。
そこで登場するのが3月IPO銘柄の“不振組”である。すなわち、公開価格960円のリバーホールディングス <5690> [東証2]、同1310円のフォーラムエンジニアリング <7088> 、同1580円のドラフト <5070> [東証M]だ。なにしろ、リバーホールディングスとフォーラムエンジニアリングは上場以来、公開価格を一度も上回っていない。悲しすぎないか。
テーマ性を内包しているし、業績面は株価の低迷ほどには悪くないはずだ。ただし、情報が極端に不足している。幹事証券の調査レポートは全くない。とはいえ、会社側は十分に株価を意識している。「これからはIR活動を積極的に行う」(ドラフトの山下泰樹社長)と。今後、こうした努力が実を結ぶだろう。
2020年8月6日 記
株探ニュース