8月株高の足音、外国人不在の閑散相場に潜むチャンスの芽<東条麻衣子の株式注意情報>

市況
2020年8月10日 15時00分

過去10年間(2010~2019年)の日経平均株価(月足)を見ると、8月を陽線で終えているのは12年、16年、18年とわずか3回しかない。決して強い月であるとは言い難いその理由の一つに、海外投資家の存在がある。過去10年、海外投資家は毎年8月に売り越している。

そして、東証が6日に発表した7月第5週(27日~31日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家による日本の現物株と先物合計の売買は7262億円の売り越しだった。

7月第2週~第4週の3週間は合計で4812億円の買い越しであったが、第5週の1週間で1.5倍近くを売り越しており、今年の8月も海外投資家が売り越しとなる可能性は低くはなさそうだ。

加えて、発表される決算では減配や減益、下方修正、赤字転落といったネガティブなキーワードが目立つうえ、日々発表される新型コロナウイルスの新規感染者数を見ても、強気で買い臨むのには躊躇してしまう人も多いのではないか。

しかし、筆者は現在の株式市場は『不景気の株高』、つまり景気の一段の悪化を防ぐための財政・金融政策の効果と景気回復を、株価は先取りして上昇している状況にあると考えている。

また、8月6日時点での日銀ETF買い入れ予算残額は6兆3940億円(2020年3月に日銀はETFの買い入れ上限額を年間6兆円から12兆円に拡大)。直近では1日のETF買い入れ金額は1002~1003億円であり、年内残り64回程度の買い入れが可能だ。8月7日から年末の大納会までの営業日は99日。株式市場が軟調に推移したとしても、年内3日のうち2日は日銀の買い支え出動が可能という計算になる。

アノマリーで考えれば、8月と9月は世界的にみても株式市場は落ち込みやすい月とされるが、『不景気の株高』『日銀ETF買い予算の残額』を考えれば、株式市場が多少下げることがあったとしても、買い下がる気持ちで臨むべき局面なのかもしれない。ましてや、長期の夏季休暇で海外投資家が不在の中、出来高が細る閑散相場であるのならば、日銀砲の威力は一段と増すことだろう。

だとすれば、この局面では自己資本比率が高く、財務基盤が強固であるにもかかわらず割安に放置されているバリュー株の投資妙味に着目してみるのはいかがだろうか。

◆東条麻衣子

株式注意情報.jpを主宰。投資家に対し、株式投資に関する注意すべき情報や懸念材料を発信します。

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