コロナ禍の4-6月期【利益倍増】企業はこれだ!〔第1弾〕 <成長株特集>

特集
2020年8月20日 19時40分

3月期決算企業の21年3月期第1四半期(4-6月)決算がほぼ出そろった。本特集では、時価総額1000億円以上の銘柄を対象に、直近3ヵ月実績である4-6月期(第1四半期)の経常利益が前年同期比で倍増した26社をリストアップし、増益率の大きい順に並べた。下表では四半期ベースの「増益連続期数」、4-6月期経常利益の通期計画に対する進捗割合を表す「対通期進捗率」も併せて記した。

増益率トップとなったのは武田薬品工業 <4502> 。20年4-6月期(第1四半期)の税引き前利益は前年同期の101億円から1302億円に急拡大して着地。アイルランド製薬大手のシャイアー買収に伴い計上された棚卸資産の公正価値調整などにかかる非資金性の費用が減少したことに加え、シャイアーとの統合費用が低下したことなどが大幅増益の要因となった。第1四半期業績の好調を踏まえ、通期の同利益を従来予想の2000億円から2300億円に上方修正している。

2位に入った近鉄エクスプレス <9375> の4-6月期経常利益は前年同期比8倍の82億円に膨らんだ。新型コロナウイルスの影響で航空貨物の取り扱い物量が減少したものの、旅客便の減便による輸送スペースの大幅な減少とそれに伴う運賃原価及び販売価格の上昇が収益を押し上げた。併せて、非開示だった21年3月期業績は同利益が前期比9.0%増の190億円に伸びる見通しとし、配当は前期と同額の30円を実施する方針を示した。

続く3位のコーエーテクモホールディングス <3635> はIPを許諾したスマートフォン向けゲーム「三国志・戦略版」が引き続き好調でロイヤリティ収入が大きく増加したほか、前期に発売した「仁王2」などのリピート販売も順調に推移した。さらに、投資有価証券売却益が30億円増加したことも利益を押し上げ、4-6月期の経常利益は前年同期比7.2倍の89.5億円と急拡大した。

選出リストでは、コーテクHDをはじめ、新型コロナウイルスの感染拡大を背景に高まる巣ごもり需要の波に乗り、業績を伸ばすゲーム関連株が目立つ。4位の任天堂 <7974> の4-6月期はゲーム機「ニンテンドースイッチ」とスイッチ用ソフトの販売が大きく伸びた。スイッチ本体の販売台数は前年同期比2.7倍の568万台、ソフトは大ヒットタイトル「あつまれ どうぶつの森」を筆頭に同2.2倍の5043万本を記録した。第1四半期実績だけで、通期計画の2900億円に対する進捗率は5割を超えており、業績上振れが期待される。

5位のミクシィ <2121> は人気IPとのコラボなどが奏功し、主力のスマートフォン向けゲーム「モンスターストライク」の課金収入が増加した。9位のスクウェア・エニックス・ホールディングス <9684> は4月に発売した新規タイトル「ファイナルファンタジー7リメイク」のデジタル販売が大きく伸びたうえ、ライセンス収入も増えた。また、昨年9月にリリースしたスマートフォン向けゲーム「ドラゴンクエストウォーク」なども収益拡大に貢献した。

11位のディー・エヌ・エー <2432> はスマートフォンゲームやライブ配信事業が好調だったほか、連結子会社だったSHOWROOMの株式売却益を計上したことも利益を大きく押し上げた。ゲーム関連では、コーテクHDとスクエニHDが好調な決算を背景に上場来高値を更新したほか、任天堂は約12年ぶりの高値圏を快走する展開が続いている。

このほか、8位にリストアップされたオイシックス・ラ・大地 <3182> の4-6月期は売上高、経常利益ともに四半期ベースの過去最高を大幅に更新した。新型コロナウイルスの感染拡大による旺盛な宅配需要を追い風に、国内宅配事業の会員数が増加したうえ、既存会員を中心に購買頻度、単価がともに大きく上昇した。また、Oisixにおける出荷能力の逼迫に伴う新規顧客獲得の休止で、販促費用が大幅に未消化となったことも利益拡大の要因になった。株価は決算発表翌日から連日ストップ高を演じ、上場来高値を大きく塗り替えている。

 ┌ 経常利益 ┐   増益  対通期 予想

コード 銘柄名    増益率 4-6月期 連続期数 進捗率  PER

<4502> 武田      1188  130291    1   56.6 68.3

<9375> 近鉄エクス    704   8200    1   43.2 14.8

<3635> コーテクHD   618   8957    4    -   -

<7974> 任天堂      576  150329    4   51.8 31.7

<2121> ミクシィ     349   7352    1   52.5 21.6

<6702> 富士通      314  25951    4    -  17.3

<6407> CKD      312   1239    4   37.9 46.0

<3182> オイシックス   285   1840    2    -  114

<9684> スクエニHD   284  24169    1    -   -

<3231> 野村不HD    283  15417    2   31.5 11.6

<2432> ディーエヌエ   274  14462    1    -   -

<9504> 中国電      252  14319    1   57.3 26.1

<9831> ヤマダ電     217  24247    1   36.1 18.5

<6622> ダイヘン     181   2088    4   19.9 13.7

<8795> T&D      180  83906    2   45.9  5.0

<9505> 北陸電      173  15401    1    -   -

<9715> トランスコス   169   3421    1    -   -

<9956> バローHD    164   9485    4   55.1 20.4

<9101> 郵船       159  16591    6   83.0 20.5

<1881> NIPPO    147  12914    2   30.0 11.8

<8604> 野村       143  181811    1    -   -

<8515> アイフル     141   7561    1   37.2  6.7

<1941> 中電工      138   1692    2   15.0 18.7

<9508> 九州電      126  26718    2    -   -

<8282> ケーズHD    103  16951    1   42.4 12.7

<6754> アンリツ     102   5115    9   29.2 23.4

※経常利益の単位は百万円。

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