大谷正之氏【夏枯れ相場の行方、2万3000円台突破はなるか】 <相場観特集>
―売買代金は連日の2兆円割れ、往来圏を打開する先導役は―
24日の東京株式市場は、日経平均株価が前週末比65円高の2万2985円と続伸した。ただ、売買代金は6日連続で2兆円割れと薄商い状態が続く。また、日経平均株価は2万3000円台では売りに押され、一進一退状態となっている。この夏枯れ相場を突破するためのポイントは何か。今後の相場の見方を証券ジャパン、調査情報部長の大谷正之氏に聞いた。
●「9月からの新展開に期待、ワクチン開発が相場左右」
大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)
東京株式市場は、売買代金が2兆円を割り込む薄商いのなか、一進一退が続いている。この先、1週間程度はなお様子見相場が続き、東証マザーズを中心とする中小型株物色が続きそうだ。しかし、9月に入ってからは徐々に商いも膨らみ値動きも出てくると思う。
今後1ヵ月程度の日経平均株価の中心レンジは、2万2700~2万3300円前後を見込む。もし2万2700円を割り込めば、2万2300円前後まで下落もあり得る。しかし、2万3300円を上回るようなら、2万3700円を目指す展開が期待できると思う。相場のトレンドは上を目指すと考えている。
足もとで出来高が細っている要因としては、2万3000円という水準が上にも下にも行きづらいことがあるだろう。目先の相場のポイントは、今週予定されている共和党大会とジャクソンホール会議だ。共和党大会では、11月の大統領選挙を前に再選を目指すトランプ氏が、どんな政策を打ち出すか。また、ジャクソンホール会議ではパウエル議長が、今後の金融政策でどのような姿勢を示すか。その内容次第で、相場は動き出すだろう。
また、秋口以降の相場をみるうえでは、新型コロナウイルスに対するワクチン開発の動向が、大きなポイントになると考えている。ワクチン開発が前進すれば、相場のムードは一段と改善することが見込める。
当面の相場は、バリュー株とグロース株が交互に買われる展開を予想する。例えば、ワクチン開発の進展の話が出れば、景気敏感株の日本製鉄 <5401> など鉄鋼株や、三菱ケミカルホールディングス <4188> など化学株、それに海運株や空運株などが買われるだろう。一方、グロース株は目先では中国の大手通信企業ファーウェイ絡みの動向が気になるが、長い目でみて電子部品大手の村田製作所 <6981> や半導体製造装置大手の東京エレクトロン <8035> 、アドバンテスト <6857> といった銘柄への投資妙味は大きいと思う。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。
株探ニュース