大塚竜太氏【日経平均急反発、安倍政権終焉で相場は変わるか】(1) <相場観特集>

特集
2020年8月31日 18時30分

―新総裁への期待と不確実性、9月相場の展望を読む―

安倍首相の電撃辞任を巡り、前週末の東京株式市場は波乱に見舞われたが、きょうは総じて急反発に転じている。政治リスクが全体相場に与える影響は懸念されるものの、世界的な金融緩和環境を追い風にマーケットの下値は固いようだ。ただ今後は安倍首相退陣により不確実性が増すことから、株価は折に触れ不安定な展開を強いられる可能性もある。あすから名実ともに9月相場入りとなる。ここからの相場の見通しについて第一線で活躍する市場関係者に意見を聞いた。

●「日経平均は2万4000円を目指す展開に」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

前週末の安倍首相の辞任は相場にネガティブサプライズを与えたが、それも一瞬で全体相場はバランスを立て直している。きょうの日経平均の反発は米国を中心に世界的な株高の流れに変化がないことを示唆している。

9月14日に行われる予定の総裁選は菅官房長官が選出されることが濃厚とみているが、(菅氏が新総裁に選出された場合、)21年9月末までの幕間つなぎ的な政権となる可能性が高いだろう。コロナ禍で解散総選挙もやりにくく、衆院議員の任期満了まで安倍政権の踏襲という形となり、その意味で株式市場の上昇トレンドを妨げることにもならない。

ネガティブ材料としては米中対立の構図が常にメディアで報じられるが、これについては見た目こそ派手でも両国とも本気とはいえない。米国も中国も制裁合戦によってお互いの経済を傷つけることは本意ではなく、ポーズの部分もあるだろう。ナスダック総合指数が最高値圏を走る米国株はもちろんのこと、上海総合指数が高値圏で頑強な中国株も、そこら辺の事情を理解したうえでの強調展開といえるのではないか。

日本株も世界的な金融緩和による潤沢な投資マネーを背景として、これまで同様に総論強気相場が続くことに変化はない。9月相場ではここ数年来の上値のフシである2万4000円ラインにチャレンジする動きが想定される。物色対象は半導体5G関連などのグロース株と、銀行や自動車セクターといったバリュー株が交互に物色される展開で、結局は底上げ的な相場になるのではないかとみている。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)

1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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