ピー・ビーシステムズ 冨田和久社長インタビュー <福証単場会銘柄に注目!>
―圧倒的な技術力を持つシステム開発のプロ集団!10年後、テンバガー500億を目指す ―
新型コロナウイルスの感染拡大に日本経済が揺れている。当然、九州経済も例外ではないが、そこには地元に根付き、地域経済の活性化を目指す力強い企業が多く存在している。しかし、地方証券取引所の上場銘柄は、全国的な「知名度」の低さなども加わり、投資家にとっては情報不足の感は否めない。地方には、キラリと光る多くの優良な企業息づいている。福岡証券取引所の単独上場会社の会(通称:単場会)http://fse.irnavi.minkabu.jp/にもそうした魅力溢れる銘柄がある。この単場会の企業トップが、自身の言葉でビジネスモデルや成長戦略、経営課題などを語ってくれた。今夏発生した九州豪雨からの復興、復旧が本格化するなか、旺盛な突破力で成長ロードを走る福証単場会の銘柄に注目したい。
●冨田和久氏(ピー・ビーシステムズ 代表取締役社長)
企業の業務システム、業務アプリケーションをクラウド化するセキュアクラウドシステム事業と、VR(バーチャルリアリティー)空間を映し出す装置4DOHを製造・販売するエモーショナルシステム事業の2本柱で事業を展開しているピー・ビーシステムズ (4447) [福証]。今期も増収増益見通しと業績は好調だ。同社の冨田和久社長に経営戦略や経営理念について語っていただいた。
【1】貴社の事業の状況について伺います。
新型コロナウイルスの感染拡大により、新たな生活様式が求められるなか、貴社の事業にも様々な影響が出てきていることと思います。こうしたなか、直近の業績をどう分析し、評価されていますか? また、今後の見通しについてはどのようにお考えですか?
IT投資に慎重姿勢な企業も一部出てきていますが、国内企業のソフトウェア投資計画の動向や、当社のお客様の反応を見ていると、趨勢(すうせい)としては投資を抑制する動きよりも、大企業や優良な中堅企業を中心にコロナ後も自社の競争力を高めるための積極的なIT投資姿勢のほうが優勢のように思えます。
新型コロナウイルスの影響を受けたエモーショナルシステム事業の不振をカバーして余りあるほどにセキュアクラウドシステム事業は伸びており、実際、当社の今期業績は増収増益基調を維持しています。
今後はテレワーク の活用が政策の後押しをうけ加速していくため、出勤時と変わらない生産性を提供できる本格的なテレワークシステムの導入が企業に求められるようになるでしょう。そのような局面の中で生産性の高い、本格的なテレワークを実現する当社のセキュアクラウドシステム事業(基幹システムのクラウド化)は益々必要とされてくるはずです。大企業、優良中堅企業のテレワーク需要の本格化、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現に向けたクラウド利用の拡大といった、IT需要をキャッチアップすることで業績を成長させていきたいと思っています。
【2】貴社の事業展開についてお聞きします。
事業セグメントは、「セキュアクラウドシステム事業」と「エモーショナルシステム事業」で構築されておりますが、貴社のビジネスの特徴やこだわり、そして新たな事業展開の可能性についてお話しください。
当社の主力事業である「セキュアクラウドシステム事業」は、全国の大企業、中堅企業、SaaS企業の業務システム、業務アプリケーションをクラウド化する事業です。簡単に言えば、会社の業務システムをクラウドに集約して、ユーザーがインターネットを介しておのおのの仕事場から業務を行えるようにするシステム構築を行っています。実はこのような形のクラウドを実現する技術は米国のCitrix Systems Inc.(以下、シトリックス)というIT企業が持っています。当社は20年以上前のシトリックス日本上陸時から同社の製品に未来を感じ、以来、顧客企業への導入、カスタマイズに注力してきました。その結果、当社にはシトリックスのカスタマイズ技術に精通した技術者が育つ風土が根付いていて、国内のシトリックスのパートナーの中では最上位カテゴリ(プラチナパートナー)で、その中でも筆頭にリストされ続けているような状況です。この技術力の高さが当社の圧倒的な優位性、競争力の源泉になっています。
この圧倒的な技術力、経験値によって、当社は顧客に不条理なストレスを感じさせることなく顧客企業の業務システムをクラウド化することができます。こういうことができる同業者は全国的に見てもほとんどいませんから、当社はお客様が逃げない、逃がさないと言いますか、いったんシステム構築業務を請け負わせていただくと、それが長いお付き合いになり、顧客が階段状に積みあがっていくというのが結果として出ています。それが、当社のセキュアクラウドシステム事業の特徴の一つです。
当社のもう一つの事業、「エモーショナルシステム事業」は、VR空間を映し出す装置4DOHを製造・販売する事業です。4DOHは同時に多くの観客が3D映像の中に入り込み、その世界の中にいるような感覚「没入感」を体験できる画期的な装置です。HMD(ヘッドマウントディスプレイ:頭部に装着するディスプレイ装置)を必要とせず360度切れ目ない3D映像を表示する4DOHの技術は、日本の他、アメリカ、台湾、インドで特許を取得しています。販売先は遊園地などのレジャー産業、博物館、科学館などの文化施設が中心です。最近、力を入れているのはコロナ後の新常態(ニューノーマル)の社会においても必要とされる、防災機関や住宅展示の市場です。その市場に向けて新型機のi4DOHを今期市場投入しました。4DOHは色々な産業に潜在的な用途があり、新たな需要が次々に見つかります。それはエモーショナルシステム事業の特徴です。新型コロナウイルスの影響を受けやすい遊園地や博物館・科学館が主要市場のため現在は停滞中ですが、今後の成長が期待できる事業だと考えています。
【3】中長期における経営戦略について伺います。
経営理念の実現に向けた具体的な数値目標やビジョンなど、お聞かせください。
御社の目標を教えてほしい、例えば時価総額の目標や、他市場への重複上場などステップアップをいつするのか、といった質問は投資家の皆様からよくいただきますが、なかなか明確に伝えることが難しい事柄なので、大雑把なイメージで説明します。
業績についての目標は、昨年9月、Q-Boardに上場した日の記者会見でもお話したのですが、まずは売上高50億円、経常利益5億円を目指したいと思っています。
次に時価総額。これは10年後に500億円くらいを目標にしてもいいかと思っています。上場時の時価総額約20億円を基準に10年後のテンバガーで200億円を目標としてイメージしていました。上場から10年でテンバガーを達成したい、と。ところが、想定以上にスピードアップしていて、第2四半期の決算説明を行った5月の時価総額が約50億円でしたから、その10倍の時価総額500億円を目標に掲げようと現在は考えています。
それから、重複上場について。東証への重複上場という話ですが、福岡に強い思いがあり、福証Q-Boardから地元を盛り上げたいという気持ちで、最初はQ-Boardからという道を選択しました。重複上場に関しては、業績や時価総額の拡大、また、大きな成長のチャンスが到来する時期など、タイミングは常に意識しています。
【4】経営のリスクについてお話をお願いします。
貴社のビジネス展開におけるリスクは何でしょうか? また、想定されるリスクがどのように業績に影響するとお考えでしょうか?
主力事業のセキュアクラウドシステム事業は、企業の基幹システムをクラウド化するための土台であるクラウド基盤を構築して企業に提供しています。企業のIT投資姿勢の変化や、当社の予測に反してIT市場が相応に拡大しない場合には、当社の事業や業績に影響する可能性があります。しかし今日の社会において、クラウドをはじめとしたITを企業が活用することは必要不可欠なものとなっているため、IT市場は今後もますます発展していくと考えています。この事業におけるもっとも大きな懸念は、拡大するIT市場に対応する人材の確保が追い付かない場合です。その場合は売り上げの伸びが停滞する可能性があります。
エモーショナルシステム事業は、新たな市場をさらに開拓して事業の早期黒字化を目指す方針です。VRは技術革新が急速に進んでいるため、当社が技術革新に追いつかない場合や、4DOHが市場ニーズにうまくキャッチアップできない場合、同事業の進捗が遅れる可能性があります。
エモーショナルシステム事業は、企業の基幹システムをクラウド化するというセキュアクラウドシステム事業を主力としている当社が、VR技術を探求したエモーショナルシステム事業という別事業を内包することで、セキュアクラウドシステム事業と互いに補完し合い、収益構造をより安定化させ、当社の中長期的な企業価値向上に寄与することを期待している事業です。
【5】最後に、投資家に向けてお話をお願いします。
貴社では投資家に対してどのようなコミットが可能でしょうか? コーポレートガバナンスやコンプライアンス、経営理念に絡めた上でお話をいただければ幸いです。
まず、経営の透明性、企業情報伝達への配慮について。IRは株主の皆様との対話、積極的なIRが会社の成長を促すことにつながると考えています。当社は投資家の皆様に有用と判断される情報を積極的に開示し、経営の透明性、企業情報伝達への配慮を高めていくことで、「ファン株主」を多く作っていこうと思っています。
次に、投資環境への配慮。投資家の皆様がより投資しやすい環境を整え、流動性の向上及び投資家層の拡大を図っていきます。
配当について。現在、配当の時期は未定ですが、当社は株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つに位置づけています。
株主優待策として、株主の皆様への日頃の感謝を込めて、株主優待制度をスタートしました。基本となる優待品は当社特製カレンダーです。このカレンダーの表紙を今後10年間、毎年並べてつなげていくと一枚の絵が完成し、何かが見えてくるような、楽しいデザインのものになります。さらに、2500株以上保有いただいている株主様には、実際に使ってみて厳選した小粋な書き心地のボールペンに、当社のロゴを印した、当社特製のボールペンを贈呈する予定です。
最後に、「人の行く裏に道あり、花の山。」という言葉がありますが、やはり人とは違うことをいかにできるか、ということを大事にしていて、会社経営の信条にもしている言葉です。当社の経営理念は、ぱっと見、いかにも経営理念、のような大上段に構えた標語ではない「勇者たらんと。」というオリジナルの言葉を考えました。『小さな僕等が持ち得るものは、一人一人の知恵と勇気と、諦めない強い心だけだ。どんな時でも、「その一歩」が踏み出せるように。勇者たらんと。』というものです。
コンピューター業界を見渡すと、あまり顧客を見ずにシステムを作る、問題を内包しているかどうかの検証を十分行わずリリースし、ユーザー任せにした結果、動かないコンピューター、みたいなことを目の当たりすることがあります。そういうことをなるべく少なくしたいという強い思いがあって当社を創業しました。つまり、我々が、勇気をもって踏み込んで関っていけばそうはならないはずです。勇気を出して一歩踏み出し知恵をしぼって方策を立て、粘り強く事に当たる。コンピューターシステムの構築にかかわる人間の技術への精通だけでなく、そういった人間性にかかわる部分こそが、コンピューターシステムに命を吹き込むことができ、成功のダイナミズムを顧客と共有することができる。そういうことを世の中に広げていける企業にしたいと思っています。
【自社アピール文】
当社は1997年に福岡県で創業したIT企業です。おかげさまで2019年9月に福岡証券取引所Q-Boardに上場しました。
20年以上前の創業直後に出会った優れたソフトウェアを中心にして、顧客企業の基幹業務システムを今でいうクラウドのような形で構築し提供してきました。
現在当社の主力事業である「セキュアクラウドシステム事業」は、この長年培ってきた技術力とノウハウ蓄積量が強みです。クラウド技術のプロフェッショナルが最適なシステムをご提案します。もう1つの事業である「エモーショナルシステム事業」は、360度スクリーンに3D映像を切れ目なく表示する、没入感の高いVR空間を生み出す「4DOH」を製造販売しています。
この2つの事業を柱に、福岡を拠点として全国をサポートするようになりましたが、エンドユーザーに近いところでビジネスをする、というスタンスは変わっていません。良いと思ったものであれば即検証し、その情報を当社の中で噛み砕き、なるべく早くわかりやすくユーザーにフィードバックする。そして、顧客満足度を高めていくというような会社です。
社名の「ピー(P)・ビー(B)」の由来も、「Powerful & Beautiful」。「質実剛健で気の利いた、本当に顧客のためになるシステム」を構築するための会社でありたいという思いを込めています。
社員一人一人の直観力や判断力を鍛え続け、良いサービスを提供し続けることでしか、僕らの成長は成しえない。いつの時もこれが当社の理念です。これからも泥臭く奮闘していきますのでご期待ください。
●資料請求・問い合わせ先
株式会社ピー・ビーシステムズ IR担当
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