来週の株式相場戦略=米国市場の動向を注視、物色シフトはあるか
今週の日経平均株価は前週末に比べ322円高と3週間ぶりに反発。3日には6カ月半ぶりに、新型コロナウイルス感染拡大で2月に急落する前の水準に上昇した。しかし、同日にNY株式市場は急落し、先行きに不透明感も浮上している。来週の日経平均株価の予想レンジは2万2500~2万3600円。値の荒い展開となる可能性もある。
来週をみるうえで、今晩発表の米8月雇用統計の影響が大きい。また、週明け7日がレーバーデーで米国は休場となる。このため、やや不透明感は強いが、「米国の金融緩和の基本的なファンダメンタルズは変わらない」(市場関係者)とみる声は多い。しかし、ナスダック市場は6月末から直近までの2カ月間で2割近く上昇しており、スピード調整は当然の局面とも捉えられそうだ。また、米司法省は今月にもアルファベット(グーグル)を独禁法違反で提訴する方針と報道された。アナリストからは「この提訴が米大手IT企業の株価に影響を及ぼさないか気になる」と警戒する見方も出ている。
そんななか、この日の東京市場では日本製鉄<5401>やジェイ エフ イー ホールディングス<5411>といった出遅れ感の強い鉄鋼株の上昇が目立った。市場には割安感が強いバリュー株へのシフトを探る動きがある。ただその一方で、「銘柄を変えながらも結局はグロース株物色が続く」(中堅証券)との声も強い。いずれにせよ、来週は本格的な物色シフトがあるかどうかを探る展開となりそうだ。
来週は、国内で8日に4~6月期GDP確報値、8月景気ウォッチャー調査、10日に7月機械受注、11日に7~9月期法人企業景気予想調査が発表される。10日に積水ハウス<1928>と神戸物産<3038>の決算発表がある。
また、海外では9日に中国8月消費者物価、10日に米8月生産者物価、欧州中央銀行(ECB)理事会、11日に米8月消費者物価が発表される。
(岡里英幸)