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和島英樹の「明日の好悪材料Next」~第15回

特集
2020年9月6日 8時40分

業績上方修正した国土強靭化・宅食関連、厳しい見通しの紙パ

和島英樹和島英樹(Hideki Wajima)

株式ジャーナリスト

日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年にラジオNIKKEIに入社。東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。現在、レギュラー出演している番組に、ラジオNIKKEI「マーケットプレス」、日経CNBC「デイリーフォーカス」毎週水曜日がある。日本テクニカルアナリスト協会評議委員。国際認定テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。

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8月28日分

8月31日分

9月1日分

9月2日分

9月3日分

8月28~9月3日ではセルロースナノファイバー、橋梁、フードデリバリー、サブスクリプション、5Gなどのテーマ性のある材料があった。一方、紙パルプ業界の業績が厳しいとの認識も明るみになった。

8月28日分 中越パルプ工業<3877>

■好悪材料~非開示だった今期最終は赤字転落、未定だった上期配当は無配転落。セルロースナノファイバー(CNF)複合樹脂「nanoforest-MB」の販売を開始

製紙業界の中堅。王子ホールディングス<3861>が筆頭株主で同社の持ち分法適用会社。新聞用紙や印刷、包装用紙に展開している。

非開示だった2021年3月期の売上高は760億円(前期比20.1%減)、営業損益27億円の赤字(前年は20億5700万円の黒字)になる見通し。

■『株探』プレミアムで確認できる中越パルプ工業の業績修正履歴

株探

紙パルプ業界では新型コロナ拡大による景気減速での需要減で厳しい状況。発表資料では「主要製品の印刷情報用紙については、イベントの中止やテレワークの普及などにより、国内製紙産業全体の出荷量は対前年同期比で約3割の落ち込みが継続」などとしている。回復には時間を要すると見ている。期末配当は未定(前期は年間25円配)。

コロナを契機としたデジタル化の進展もあり、王子紙のほか、日本製紙<3863>、三菱製紙<3864>などの同業も厳しい可能性がある。

一方、同社が強みを有するセルロースナノファイバー(CNF)は、植物由来の素材で、鋼鉄の5分の1の軽さで5倍の強度をなどの特性を有している。環境にやさしく、強く・軽量化ができる補強材として自動車を始めとした産業分野での応用が期待される。

CNF複合樹脂の「nanoforest-MB」は同社の従来品と比べて衝撃強度を高めたなどの特徴がある。自動車部品などへの展開が期待される。

CNF関連では、同社のほかに日本製紙<3863>、大王製紙<3880>、星光PMC<4963>、第一工業製薬<4461>などがある。

8月31日分 コーアツ工業<1743>

■好悪材料~今期経常を2.6倍上方修正、配当も30円増額

橋梁工事が中心の中堅建設企業。PC(プレストレストコンクリート)技術に定評がある。官公庁向け需要が8割を占める。地盤は九州。

2020年9月期の業績を上方修正し、売上高は前回予想を5億6800万円上回る106億6200万円(前期比9.2%減)、営業利益は同5億2900万円増額の8億3500万円(同26.1%減)とした。期末配当は前回予想比30円増配の80円(前期比20円増配)とする。修正理由は利益率の良い工事の進ちょく率が予想を上回ったためとしている。

■『株探』プレミアムで確認できるコーアツ工業<1743>の業績修正履歴

株探

同社が得意とするPCは、あらかじめ力を加えたコンクリートのこと。PC技術を用いることにより、コンクリートの最大の弱点である「圧縮には強いが、引っ張りには弱い」を克服することができる。具体的にはあらかじめストレスをかけた状態で橋などを作る。

同社ではPC工法を使った橋梁工事に多数の実績がある。高度成長期に建設された橋梁の補修や、新設需要が増加傾向にある。同社の売上高・利益は増額後でも減収減益だが、これは大型案件の端境期などが要因とみられる。需要の増加基調から、21年9月期は増益に転じる公算が大きい。国土強靭化、防災減災という国策も後押し要因となりそうだ。

PC工法の大手はピーエス三菱<1871>、富士ピー・エス<1848>など。橋梁では横河ブリッジホールディングス<5911>、OSJBホールディングス<5912>、駒井ハルテック<5915>にも注目できそうだ。

9月1日分 ライドオンエクスプレスホールディングス<6082>

■好悪材料~今期経常を36%上方修正・最高益予想を上乗せ、配当も20円増額

調理済み食材の宅配事業を全国で展開し、寿司「銀のさら」、釜飯「釜寅」などがある。

2021年3月期の業績を上方修正、売上高は前回予想を26億3600万円上回る247億3900万円(前期比17.6%増)、営業利益は5億9500万円上乗せし22億円(同59.5%増)になる見通し。期末配当は従来予想から20円増配し、30円(うち特別配当20円)とする。

■『株探』プレミアムで確認できるライドオンエクスプレスHDの四半期業績の成長性推移

株探

新型コロナ影響でフードデリバリー需要の増加で「銀のさら」、「釜寅」の売上が想定以上。発表資料によれば「今後においては、その傾向が徐々に緩和されると考えられるものの、引き続き昨年を上回って推移することが想定される」などとしている。

フードデリバリー(宅配食)ビジネスは当面続く公算が高まっている。出前仲介サイト「出前館」を運営する出前館<2484>のほか、添加物を極力使わない加工食品やプレミアム時短をコンセプトとしたミールキット「Kit Oisix」などを宅配するオイシックス・ラ・大地<3182>、健康食宅配のファンデリー<3137>がある。

また飲食店検索サイトが主力で生鮮食品のEC(電子商取引)サービスである「クックパッドマート」を展開するクックパッド<2193>なども業績動向を注視したい。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。

次ページ ビープラッツ<4381>、アルチザネットワークス<6778>そして和島・独自注目の好悪材料は

 

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