【杉村富生の短期相場観測】 ─「日本株は出遅れ!政治の季節が株高を支援!」
「日本株は出遅れ!政治の季節が株高を支援!」
●NY市場の「ITバブル崩壊」はあり得ない話!
NY市場は波乱含みの展開となっている。S&P500指数、ナスダック指数は史上最高値を更新中だったし、NYダウは2月12日の史上最高値(2万9551ドル:終値ベース)奪回目前に迫っていた。とりあえず、「利食っておこう」とのムードが台頭するのはやむを得ない。しかし、ニューノーマル(新常態)を背景とする世界的な株高は始まったばかりである。
ウォール街では巨大IT企業の株価急落を受け、「2000年2~3月のITバブル崩壊」を危惧(連想)する声が聞かれる。だが、当時とは状況がまったく違う。
すなわち、2000年はFRBが金融引き締めを強行、景気が失速し、IT企業の業績は悪化した。現在はどうか。IT企業の業績はGAFA+M(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム+マイクロソフト)を中心に好調だ。さらに、ドキュサイン、セールフォース・ドットコム、オクタなど新しい世界的な成長企業が次々に登場している。
景気は底練り状態だ。これ以上、悪くなりようがない。それに、低金利、低物価、低成長が継続する。コロナショックによって、本格的なデジタル社会が到来、新常態は株式の時代の訪れを告げている。そのメインはNY市場だ。このままピークとはならないと思う。
もちろん、NY市場がハシャギすぎた面はある。いかに、国際マネーが集中したとはいえ、やりすぎだ。なにしろ、NY市場(ナスダック市場を含む)の時価総額は3992兆円と、東京市場の6.5倍に膨らみ、GAFA+Mの時価総額は815兆円、テスラの時価総額は44兆円(9月1日時点)になっていた。まあ、これは異常だったのではないか。
●物色面ではド真ン中の銘柄を! 小物は…?
水素トラックのニコラの時価総額は2兆円を超えた。テスラの時価総額はトヨタ自動車 <7203> の時価総額(23兆円)の2倍弱だ。水素トラックを開発中のいすゞ自動車 <7202> の時価総額は8636億円、同じく日野自動車 <7205> は3976億円にすぎない。ニコラはこれから工場を作るという話だ。確かに、夢はある。
ただ、行き過ぎは修正される。逆に考えると、日本株は出遅れが著しい。加えて、新政権が誕生、「菅首相」はオンライン診療、電子行政などデジタル社会に向けての施策を打ち出すだろう。解散総選挙は年内の可能性がある。タイミング的にはここしかない。株式市場では「総選挙は買い」という。
物色面ではまず、ド真ン中の銘柄を攻めたい。本命は値動きが良好なソフトバンクグループ <9984> だろう。配当利回り6%の三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> は9月中間配当取りを兼ねて狙える。日本郵船 <9101> は出直り。3月IPOの株価不振組のフォーラムエンジニアリング <7088> はそろそろのタイミングだろう。
小物はどうか。電子カルテのソフトマックス <3671> [東証M]、国策に沿うITbookホールディングス <1447> [東証M]にはチャート妙味を指摘できる。
このほか、急動兆の浜井産業 <6131> [東証2]、底打ちのポエック <9264> [JQ]などが狙い目となる。
2020年9月11日 記
株探ニュース