山田勉氏【「菅新政権誕生」で始まる次の相場ストーリーとは】 <相場観特集>
―日経平均上値追い、期末接近で9月後半相場はどう動く―
週明け14日の東京市場はリスク選好の流れとなり、主力株をはじめ幅広く売り物をこなし日経平均は続伸した。菅官房長官の自民党総裁選出をにらみ、株式市場は新政権への期待を込めた“ご祝儀買い”が入った面もある。ただ、米ハイテク株の軟調地合いが続いており、東京市場でも上値の重さが引き続き意識されているようだ。9月相場も折り返し地点に入った。中間期末が近づくなか、鋭い洞察力で個人投資家にも人気が高いauカブコム証券のマーケットアナリスト山田勉氏に話を聞いた。
●「“菅新政権”の発足で強調相場継続へ」
山田勉氏(auカブコム証券 投資情報室 マーケットアナリスト)
日経平均は足もと強い動きを示しているが、これは世界的な金融緩和環境が継続するなか、期末の配当権利取り狙いの買いなどが上昇トレンドを支える形となっている。ここまでのグロース株圧倒的優位の地合いからバリュー株にも一部資金シフトが見られることで相場の足腰が強くなっている。新型コロナウイルスの感染拡大のなか、旅行や飲食など売り込まれた“Go To”関連銘柄にも物色の矛先が向いており、市場のムードは改善傾向にあるといってよさそうだ。
自民党次期総裁への選出がほぼ確実視されている菅官房長官(コメント取材時間は14日昼)だが、新政権に対する期待が相場にプラスに作用していることも確かだ。あとは、解散総選挙の可能性や年内にも策定の可能性がある第3次補正予算への思惑が株式市場にも少なからぬ影響を与えそうだ。解散総選挙については、2017年の秋口に実施した時は9月中旬から年末にかけ日経平均は約18%も上昇した経緯がある。今回も組閣や党役員人事の顔ぶれや、それを受けた支持率などを横目に10月下旬実施の日程で総選挙のカードを切ることはあり得ない話ではなく、仮に実現した場合は日経平均も大幅に水準を切り上げることになろう。
9月後半から10月中旬にかけての東京市場は、基本的に上値指向の強い地合いを想定しており、日経平均は2万4000円のフシ目を突破する公算も小さくない。全体底上げの状態となれば、バリュー株物色の裾野が広がることが予想され、トヨタ自動車 <7203> など自動車セクター、あるいは三菱商事 <8058> など“バフェット買い”でも話題となった総合商社株、このほかメガバンクなど銀行株もマークしたい。今月下旬開催の東京ゲームショウを横にらみに、ソニー <6758> や任天堂 <7974> なども引き続き注目される。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(やまだ・つとむ)
マーケットアナリストとして証券界で十数年活躍。2004年5月、カブドットコム証券(現auカブコム証券)入社。『こちカブ』(ラジオNIKKEI)『まーけっとNavi』(日テレNEWS24)『マーケットホットライン』(ストックボイス)などに出演。
株探ニュース