来週の株式相場戦略=菅政権を海外勢評価、テスラの「バッテリーデー」話題に
今週の東京市場は菅政権の誕生に話題は集中したが、円高進行もあり週間ベースの日経平均株価は46円(0.2%)安と2週間ぶりに反落した。ただ、中小型株物色は活発であり、「地合いは決して悪くない」(市場関係者)との声は多い。
全体相場の上値は、やや重い展開が続くが売買代金は2兆円超えが続き、一時の閑散相場からは脱しつつある。市場には「海外投資家が日本株を買っているのでは」(アナリスト)との見方も出ている。日本株見直しの最大のポイントは、割安銘柄の多さであり、そこに新政権への期待が加わっている。
米モルガン・スタンレー証券は直近のリポートで安倍政権下での改革を評価したうえで、「日本は菅総理という新リーダーのもと、いまなお正しい方向を歩み続けている」と指摘。先進アジア株及び中国を除く新興国市場に対して「日本株の構造的なオーバーウエイトスタンスを継続する」と強気姿勢を示している。海外勢は中長期スタンスで日本株を見直そうとしているようにみえる。
来週は、28日の権利付き最終日を意識した配当など権利取りの動きが予想される。更に、市場関係者が注視しているのが、22日に予定されている米テスラの「バッテリーデー」だ。電気自動車(EV)向けの新たなバッテリー技術が発表される見込みだが、「テスラの株価が急騰するか急落するか、いずれにせよ大きな値動きとなる」(アナリスト)とみられている。テスラ株の動向は米ハイテク株を左右しそうだ。日本でもパナソニック<6752>のほか田中化学研究所<4080>やニッポン高度紙工業<3891>などのリチウムイオン電池関連株が注目される可能性がある。
また、来週からは9月IPOが本格化する。24日にはトヨクモ<4058>、グラフィコ<4930>、まぐまぐ<4059>、25日にはI-ne<4933>、STIフードホールディングス<2932>が登場する。クラウド関連のトヨクモなどが注目されている。23日から27日まで「東京ゲームショウ2020 オンライン」が開催される。海外では22日に米8月中古住宅販売件数が発表される。
来週の日経平均株価の予想レンジは、2万3000円~2万3600円。
(岡里英幸)