富田隆弥の【CHART CLUB】 「米国株、25日移動平均線割れ」
◆菅内閣が発足した。菅内閣を巡っては新鮮味に欠けるとかサプライズなしといった声が聞かれるが、その割に支持率は65~74%と高く、期待している国民は少なくない。菅氏が自民党総裁に選出された9月14日に、日経平均株価はザラバ高値2万3582円と2月21日以来の高値を付けており、株式市場も「スガノミクス」に期待していると言えよう。新型コロナ対策や経済対策、省庁デジタル化、Go ToトラベルにGo Toイート、携帯料金引き下げ、地方活性化など新内閣関連のテーマも豊富だ。
◆ただ、9月第2週(7~11日)の投資主体別売買動向を見ると、証券自己売買部門が6063億円と大量に買い越す一方、外国人投資家(現物)は逆に4440億円売り越している。スガノミクス期待で上昇したかのように見えた日本株だが、その背景には証券会社の努力があったことも否めない。
◆また、日本株には「米国次第、外国人次第」という側面があることも否定できない。 NYダウ、 ナスダックの日足チャートを見ると、それぞれ9月3日、2日に高値を付けて調整に転じ、下値を支えてきた25日移動平均線(NYダウ2万8083ドル、ナスダック1万1302ポイント)を割り込み、「調整入り」を暗示する。世界のマネーを引きつけているアップルやフェイスブック、アルファベットなど大手IT銘柄にも調整色が見られる。
◆米国の今月のタイムスケジュールは、15~16日のFOMC(連邦公開市場委員会)を終え、18日にSQ(トリプルウィッチング)、23日が3月安値から6ヵ月目を迎える。大きく上げてきた相場が調整の兆しを見せ、売り買いが交錯しやすい状況となり、相場は乱高下しやすいところだろう。米国株がそうなるならば、日本株だけが安泰でいられるかは疑問だ。
◆お彼岸の4連休明けに日経平均株価の動く方向がひとつの焦点であり、上昇するなら2万4000円台を目指すだろう。だが、菅内閣が発足して期待材料が一旦出尽くし、3月の安値期日(3月19日)近辺で高値を付けたことで、この先調整に向かう可能性もある。秋相場の波乱は珍しくなく、NYダウなど米国株が25日移動平均線を上抜くのかを確認するまで少し様子見も一策と思われる。
(9月18日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース