明日の株式相場に向けて=大統領選討論受けアルゴ売り炸裂
きょう(30日)の東京株式市場は後場に入り値を大きく崩す展開となり、日経平均株価が353円安の2万3185円と4日ぶりに急反落となった。きょうは11月の米大統領選を前にして、トランプ米大統領とバイデン前副大統領の両候補による第1回公開討論にマーケットの耳目が集まった。バイデン氏は高齢ということもあって長い時間議論を戦わせることに不安があるとの見方があったが、実際はその思惑とは真逆に展開した。トランプ氏の勇み足でバイデン氏が棚ボタ的な優位を築いたというのが、市場関係者の共通した見解であった。そして、このマーケットへの影響は思った以上に大きかったといえる。
前引けに30円安程度であった日経平均は、後場寄りにギャップダウンスタートとなり、いきなり160円近い下落、その後も次第安の展開で漸次水準を切り下げる動きとなった。バイデン氏が仮に大統領選に勝利した場合、増税路線が想起され米株市場にはネガティブに作用する。公開討論はバイデン氏優勢との見方が強まると、米株価指数先物の下げを横にらみに、225先物にもアルゴリズムによる売りプログラムが作動した。これまでは世論調査でバイデン氏の優勢が伝わっていても、マーケット目線では結局はトランプ氏が勝つだろうという高を括ったところがあった。ところが、大統領選まであと1カ月少々というところにきて、バイデン氏が勝利する可能性に市場はにわかに危機感を募らせているというのが現状だ。マーケット関係者によると「公開討論はあまりに討論というには憚(はばか)られる内容だった。とりわけトランプ氏が感情ムキ出しで自爆したという見方が強い。これが後場の崩れ足につながった」(ネット証券マーケットアナリスト)という指摘である。
ただ、仮にバイデン氏が大統領選に勝利した場合、本当に米国株の上昇トレンドは終わるのかといえばそうとはいえない。かつて、ヒラリー・クリントン氏との大統領選ではトランプ氏が勝てば株は暴落するという論調が大勢を占めていたが、結果は周知の通りである。「新政権が法人税の引き上げを直ちに行ってマーケットを一気に冷やすような愚策をとることは考えられず、ここで売り方が仕込みに動くとすればそれは時期尚早といえる」(中堅証券ストラテジスト)という声も出ていた。
あすのスケジュールでは、9月の日銀短観、9月の新車販売台数など。また10年物国債の入札も行われる。海外では9月のISM製造業景況感指数、8月の米個人所得・個人消費支出、8月の米建設支出など。また、欧州時間では8月のユーロ圏失業率が発表される。なお、中国の国慶節に伴う大型連休が8日までの日程で始まる。韓国市場は休場。