S&P500 月例レポート ― 9月は3.9%下落、新型コロナへの懸念高まる (4) ―

市況
2020年10月14日 14時01分

○9月のまとめ

⇒S&Pグローバル総合指数の時価総額は8540億ドル減少しました(8月は3兆4530億ドル増)。米国以外の市場の時価総額は800億ドル減少(同1兆1870億ドル増)、米国市場は7740億ドル減少しました(同2兆2660億ドル増)。

⇒新興国市場は9月に2.36%下落し(8月は2.53%上昇)、過去3ヵ月間では7.90%上昇、年初来では4.14%下落、過去1年間では6.17%の上昇となっています。

⇒先進国市場は9月に3.34%下落し(8月は6.38%上昇)、米国を除くと2.50%の下落(同5.28%上昇)となっています。過去3ヵ月間では7.50%上昇(8月時点では14.05%上昇)、米国を除くと5.62%上昇(同11.81%上昇)、年初来では0.60%上昇(同2.83%上昇)、米国を除くと7.32%下落(同4.94%下落)、過去1年間では7.74%の上昇(同13.66%上昇)、米国を除くと0.28%の上昇(同5.52%上昇)となりました。

○9月は11セクターが揃って下落し、セクター間のばらつきは縮小しました(7月と8月は11セクター中10セクターが上昇しました)。パフォーマンスが最高のセクター(資本財・サービス、1.11%下落)と最低のセクター(エネルギー、12.46%下落)の騰落率の差は11.35%(過去1年間の平均は9.89%)と、8月の13.39%から縮小し、7月の9.38%から拡大しました。

○新興国市場は9月に2.36%下落しました。8月は2.53%の上昇、7月は6.46%の上昇でした。過去3ヵ月間では7.90%の上昇、年初来では4.14%の下落となりました。過去1年間では6.19%上昇、過去2年間では4.46%上昇、過去3年間では0.01%上昇しています。

⇒9月は25市場のうち6市場が上昇しました。これに対して8月は17市場が上昇し、7月は18市場が上昇しました。サウジアラビアのパフォーマンスが最も良好で、9月は3.30%上昇しました。ただし年初来では3.38%下落、過去1年間では0.20%下落にとどまっています。次いでパフォーマンスが良かったのはクウェートで、9月に2.67%上昇しましたが、年初来では14.47%下落、過去1年間では3.42%の下落となっています。3番目にパフォーマンスが良かったのはトルコで、9月は1.15%上昇し、年初来では24.80%下落、過去1年間では23.17%の下落となりました。

パフォーマンスが最低だったのはインドネシアで、9月に12.55%下落し、年初来では33.01%下落、過去1年間では29.38%下落しています。次いでパフォーマンスが振るわなかったのはハンガリーで、9月に9.77%下落し、年初来では36.31%下落、過去1年間では23.49%下落しました。3番目はポーランドで、9月に9.58%の下落、年初来では20.65%の下落、過去1年間では16.25%の下落となりました。

○先進国市場は7月の4.52%上昇、8月の6.38%上昇の後、9月も全体で3.34%上昇しましたが、米国を除くと、2.50%の下落(7月は2.90%の上昇、8月は5.28%の上昇)でした。先進国市場は過去3ヵ月間では7.50%の上昇(米国を除くと5.62%の上昇)、年初来では0.60%の下落(同7.32%の下落)となりました。過去1年間では7.74%の上昇(同0.28%の上昇)、過去2年間では6.03%の上昇(同4.83%の下落)、過去3年間では15.47%の上昇(同4.32%の下落)でした。

⇒7月は24市場、8月は25市場全てが上昇したのに対して、9月は上昇したのは25市場中5市場にとどまりました。パフォーマンスが最高となったのはルクセンブルグで2.55%上昇しましたが、年初来では18.38%の下落、過去1年間では12.68%下落しています。2番目は韓国で、2.14%上昇し、年初来では7.29%の上昇、過去1年間では19.97%上昇しています。3番目は日本で、0.97%上昇し、年初来では2.75%の下落、過去1年間では4.59%の上昇となりました。

パフォーマンスが最低だったのはノルウェーで、9月に8.25%下落し、年初来では16.82%の下落、過去1年間では10.26%の下落となりました。これに続いたのがイスラエルで、9月に7.38%下落し、年初来では4.09%の下落、過去1年間では2.54%の上昇となりました。3番目はオーストラリアで6.96%下落し、年初来では10.36%の下落、過去1年間では7.26%の下落となりました。

⇒注意すべき点として、ドイツは2.95%の下落(年初来では1.73%の下落、過去1年間では8.65%の上昇)、カナダは5.06%の下落(同8.28%の下落、同3.80%の下落)、英国は5.27%の下落(同25.07%の下落、同17.17%の下落)でした。

インデックス・レビュー

●S&P 500指数

S&P 500指数の9月の終値は8月末の3500.31から3.92%下落(配当込みのトータルリターンはマイナス3.80%)の3363.00となりました。8月は7.01%の上昇(同プラス7.19%)でした。過去3ヵ月間では8.47%の上昇(同プラス8.93%)、年初来では4.09%の上昇(同プラス5.57%)、過去1年間では12.98%の上昇(同プラス15.15%)となりました。

ダウ平均は8月末の2万8430.85ドルから2.28%下落(同マイナス2.18%)の2万7781.70ドルで9月を終えました。8月は7.59%の上昇(同プラス7.92%)でした。過去3ヵ月間では7.63%の上昇(同プラス8.22%)、年初来では2.65%の下落(同マイナス0.91%)、過去1年間では3.21%の上昇(同プラス5.70%)となりました。

S&P 500指数の9月の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)は8月の0.76%から1.86%に上昇しました。年初来では1.92%(8月末時点は1.93%)、2019年は0.85%、2018年は1.21%、2017年は0.51%(1962年以来の最低)でした。

出来高は前月比9%減少した8月から9%増加し(営業日数調整後)、前年同月比では18%増加し、過去1年間でも前年比27%増加しました。

9月の前日比で1%以上変動した日数は21営業日中12日となり(上昇が6日、下落が6日。2%以上上昇した営業日が1日、2%以上下落した営業日が3日)、年初来では89日(上昇が50日、下落が39日)となりました。9月は21営業日中17日(8月は21営業日中3日)で日中の変動率が1%以上、2日(8月はゼロ)で3%以上となりました。年初来では124日(8月末時点は107日)で日中の変動率が1%以上、34日(同32日)で3%以上となっています。2019年はそれぞれ1%以上の変動が73日と3%以上の変動が1日、2018年はそれぞれ228日(253営業日中)と75日でした。

セクター間のリターンのばらつきは拡大し、上昇したセクターは11セクター中わずか2セクターと、7月の10セクター、8月の8セクターを下回りました。パフォーマンスが最高のセクター(素材、1.09%上昇)と最低のセクター(エネルギー、14.64%下落)の騰落率の差は8月の14.96%から15.73%に拡大しました(1年平均は13.11%)。騰落率の差は年初来では77.68%(8月末時点は76.44%)、2019年は40.41%でした。

9月は、素材が1.09%上昇して騰落率首位となりました。同セクターは年初来では3.67%上昇しています。公益事業セクターも騰落率がプラスとなり、9月に0.80%上昇しましたが、年初来では8.07%下落しています。資本財も下落率を0.84%にとどめ、下落は大半のセクターよりも抑えられましたが、年初来では5.37%下落しています。情報技術は利益確定を受けて売りがかさんだ結果、5.42%下落しましたが、年初来では27.52%上昇と騰落率首位となっています。金利が低位にとどまる中、金利は低水準に維持されるとの見通しをFRBが示したことを受けて、金融は3.67%下落し、年初来で21.73%の下落となりました。ヘルスケアは2.29%下落しましたが、年初来では3.60%上昇とプラス圏を維持しています。消費関連セクターは値を下げ、一般消費財は3.69%の下落(年初来では22.45%の上昇)、生活必需品は1.84%の下落(同1.88%の上昇)となりました。エネルギーが14.64%下落で騰落率最下位となり、年初来でも50.16%下落しています。

9月は値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を大幅に上回りました。9月の値上がり銘柄数は153銘柄(平均上昇率は3.98%)と、7月の364銘柄(同8.32%)、8月の365銘柄(同7.62%)から減少しました。10%以上上昇した銘柄数も15銘柄と、7月の115銘柄(同16.22%)、8月の94銘柄(同16.12%)から減少し、25%以上上昇した銘柄はありませんでした(7月は8銘柄、8月は9銘柄)。一方、値下がり銘柄数は351銘柄(平均下落率は5.62%)と、7月の140銘柄(同5.11%)、8月の139銘柄(同4.32%)から増加しました。10%以上下落した銘柄数も53銘柄(同14.56%)と、7月の19銘柄(同14.59%)、8月の14銘柄(同13.10%)から増加し、2銘柄が25%以上下落しました(7月と8月はともにゼロ)。過去3ヵ月間では、356銘柄(平均上昇率は12.96%。8月末時点は383銘柄で同15.82%)が上昇した一方、148銘柄(平均下落率は9.44%。8月末時点は122銘柄で同6.76%)が下落しました。

年初来では値下がり銘柄数と値上がり銘柄数の差が拡大し、値上がり銘柄数は203銘柄(平均上昇率は22.66%)と、8月末時点の226銘柄(同21.22%)から減少し、10%以上上昇した銘柄数も138銘柄(同30.85%)と、8月の146銘柄(同30.34%)から減少し、66銘柄(8月末時点は67銘柄)が25%以上上昇しました。一方、値下がり銘柄数は300銘柄(平均下落率は23.94%)と、8月末時点の277銘柄(同23.90%)から増加し、10%以上下落した銘柄数も218銘柄(同31.28%)と8月末時点の208銘柄(同30.14%)から増加し、124銘柄(同41.96%。8月末時点は118銘柄で同40.14%)が25%以上下落しました。

[執筆者]

ハワード・シルバーブラット

S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス

シニア・インデックス・アナリスト

※このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイトをご参照ください。

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