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2020年10月18日 9時00分
市況

「バイデン政権」織り込む市場【フィスコ・コラム】

米大統領選を直前に控え民主党候補のバイデン前副大統領のトランプ大統領へのリードが拡大し、金融市場はそれを織り込み始めました。ただ、トランプ陣営も必死の巻き返しで、歴史的な大接戦にもつれ込みそうです。まだ予断を許す状況にはないでしょう。

今月上旬にキニピアック大学などが実施した世論調査によると、バイデン氏のトランプ氏に対するリードはさらに広がり、複数の州でその差は10ポイントを超えているもようです。メディアは民主党優勢を演出する傾向があるためあまり当てにはなりませんが、それを割り引いたとしても、11月3日の投開票までの残りの日数を考えるとトランプ氏の逆転は困難であるように見えます。

「大きなマスクで顔を隠したら、整形手術をした意味がないじゃないか」と少し前の演説で聴衆を笑わせたトランプ氏でしたが、自身の新型コロナウイルス感染で管理能力の甘さをさらしてしまい支持を失ったと指摘されています。確かに、コロナ被害が世界最悪のアメリカで「強い大統領」を演じていたのは支持層に対しては効果的だったものの、早期の退院は裏目に出たかもしれません。

NY株式市場ではトランプ離れが始まったようです。バイデン氏の政策は当初、ウォール街を意識した富裕層対象の増税が注目され、「バイデン政権」は株安につながるとみられていましたが、最近では増税を原資とした大型投資への期待感が高まっています。トランプ氏が追加経済対策の与野党協議を突然、一方的に中止したこともバイデン氏が再評価されるきっかけになりました。

しかし、バイデン陣営には攻め入るスキがあるように思えます。例えば、10月7日に行われた副大統領候補による討論会で、民主党のハリス上院議員はバイデン氏の増税・大型投資について曖昧な回答で経済政策に関しやや不安を残しています。また、マネーロンダリング(資金洗浄)問題を取り上げた「フィンセン文書」にはバイデン氏の息子の名前も挙がっており、トランプ陣営の攻撃材料になりえます。

10月15日に予定されていた第2回候補者討論会はトランプ陣営の申し立てにより中止となり、トランプ、バイデン両候補による直接対決は同22日の第3回討論会(テネシー州ベルモント大学)だけになりました。4年前の前回大統領選では、3回目の討論会終了時点でクリントン氏のトランプ氏へのリードは6ポイントあまりでした。この後のトランプ氏がバイデン氏との差を縮めれば、再選の可能性はまだ十分あります。

もっとも、現時点で市場にとっての最悪シナリオは538人の選挙人が同数となり、決選投票にもつれ込む展開でしょう。その際には結果の判明に数日間を要するとみられ、不透明感を嫌う金融市場は混乱に陥ることも予想されます。激戦となるウィスコンシン、ミシガン、ペンシルベニア、アリゾナ、フロリダ、ノースカロライナの6州の動向は、特に注目されそうです。

※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。

(吉池 威)

《YN》

提供:フィスコ

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