明日の株式相場に向けて=新型コロナで明暗分ける欧米とアジア

市況
2020年10月27日 17時00分

きょう(27日)の東京株式市場は売り優勢の地合いとなり、日経平均株価が8円安の2万3485円と続落した。続落とはいってもこの日の高値で引け、前日終値と比較して誤差の範囲にとどまったような着地。前日の欧米株波乱を考えれば、よくこれで済んだというのが率直なところ。しかし、これは東京市場に限ったことではなく同じ時間帯に取引を行っていた他のアジア株市場も似たようなものであった。中国上海総合指数はプラス圏に浮上している。

前日の欧州では独DAXが3.7%の急落、米国もNYダウが2.3%の下げで、ザラ場中は3.4%安(965ドル安)まであった。前日の欧米株が急落した背景を挙げればただ一つ、単刀直入に「新型コロナウイルスの感染再拡大に対する懸念」である。既に欧州では新型コロナ封じ込めのために経済活動の規制を強めるよりない状況にあるほか、米国も新規感染者数が前週末に過去最多を更新したことが分かり、改めて新型コロナに対する警戒感が浮き彫りとなっている。

では、日本を含む東アジアはどうかというと、対岸の火事とは言えないまでも深刻度は欧米とは全く違う状況にある。市場関係者の間では「きょうの株式市場の動きは、新型コロナに対して耐性がある東アジアが、その分だけ株価の底堅さに反映される形となった」(ネット証券マーケットアナリスト)と指摘されていたが、まさにその通りで新手のAI・アルゴリズムによる自動売買でも組まれているのかと思わせるような動きだった。ちなみに日本を含むアジア市場とそれほど取引時差がないオーストラリア(ASX)は終値で1.7%強の下落だった。豪州は白人国家であり新型コロナ感染者数も日本などとは比較にならない。つまり、取引の時間帯によって相場の強弱が左右されていないということが分かる。

仮にアルゴの影響としても、きょうの値運びは今後の株式市場を見ていくうえで重要なポイントとなる可能性はある。とはいえ、米国株市場がリスクオフに晒されているのに東京市場が高値圏を舞うというようなケースはやはり考えづらく、当面は米大統領選絡みで神経質な展開が続くであろう。

米大統領選は期日前投票の開票作業で情勢がある程度つかめるようになっている。要衝であるフロリダ州でもどうやらバイデン候補が優勢ということが分かってきた。ここにきての新型コロナ事情がトランプ氏の風向きを悪くしている。選挙は水物でマスコミの報道が信用できないことは、4年前のトランプVSヒラリーで証明済みだが、上院も民主党が押さえるとして「トリプルブルー」を本当に株式市場が歓迎するのかどうかは分からない。そして大統領選後にカオスが待つというシナリオもかなり確度が高い。トランプ米大統領は保守派の最高裁判事を指名・就任させ、法廷闘争の準備に余念がない。「郵便投票はバイデン氏が明らかに優位、一方トランプ支持層は直接投票所に足を運ぶタイプが多い」(ネット証券アナリスト)という。であればなおさら“郵便投票”をターゲットに裁判に持ち込む公算は大きく、マーケットは経済対策を早く出せという催促相場におちいる可能性がある。

あすのスケジュールでは、29日までの日程で日銀の金融政策決定会合が行われる。また、東証マザーズにさくらさくプラス<7097>、プレミアアンチエイジング<4934>が新規上場する。海外では7~9月期の豪消費者物価指数(CPI)が予定されるほか、ブラジル中銀が政策金利を発表する。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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