富田隆弥の【CHART CLUB】 「欧米株が陰転、正念場を迎える日本株」
◆さて、いよいよ迎える11月3日、米国大統領選に世界の耳目が集まる。ただし、今回はその日にスッキリ決着せずに年内一杯ゴタゴタ、場合によっては新大統領を裁判所が確定させることになりかねない。そのような混迷を予想する向きは少なくないが、いずれにせよ11月相場はNYダウなど米国市場がカギを握ることになろう。ちょっと心配だ。
◆10月28日にNYダウ平均は943ドル安の2万6519ドルと大きく4日続落。9月24日に付けた安値の2万6537ドルを割り込み、日足チャートは9月3日高値(2万9199ドル)と10月12日高値(2万8957ドル)でダブルトップを確定させた。そして、週足チャートも2月高値(2万9568ドル)と9月高値(2万9199ドル)のダブルトップ懸念を募らせる。いま2万6600ドル水準にある52週移動平均線にタッチしたところで、これを維持できるのか注視しておきたい。
◆28日はナスダックも426ポイント安の1万1004ポイントと反落して75日移動平均線(1万1134ポイント)を割り込む。また、ドイツのDAX指数は503ポイント安の1万1560ポイントと3日続落し、週足チャートは52週移動平均線(1万2290ポイント)を大きく割り込み「陰転」を確定させた。
◆閑散、小動きだった10月の日本株市場。10月28日に出来高10億株と売買代金2兆円を13日ぶりに回復したが、日経平均株価はこの日に終値で25日移動平均線(2万3446円)を割り込み、29日は寄りで2万3170円安値を付け75日移動平均線(2万3111円)に迫ってきた。チャートは2万3000円台を維持するものの、ここは上昇基調を維持できるか否かの正念場だ。
◆新型コロナの感染が再拡大する欧米に対し、日本は比較的抑えられている。決算発表の序盤で主力株の好調も目立ち、「だから日本株は大きく崩れない」との声は少なくない。だが、どうなるかは相場に聞くことになる。日経平均が2万3000円台を維持しているなら上昇期待も続くが、もし割り込むなら「下放れ」として先行きの調整を警戒すべきだろう。「閑散に売りなし」か、それとも「嵐の前の静けさ」か、その答えは間もなく出るような気がする。
(10月29日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース