明日の株式相場に向けて=“田舎の大将”勝利で日本株に福音
きょう(4日)の東京株式市場は大きく買い優勢に傾き、日経平均株価が399円高の2万3695円と大幅続伸した。前週末の上昇幅を上回りほぼ400円の上昇を演じた。国内企業の決算発表が佳境を迎えているが、きょうばかりは全体相場への影響は限定的だ。何といっても足もとでマーケットの視線が集中しているのは米大統領選の行方である。
きょうの東京市場は前場の段階では、バイデン候補が勝利し上院も民主党が制する、いわゆるブルーウェーブの可能性をマーケットが織り込む形でリスクオン相場となった。しかし、後場寄りに状況が一変する。現職大統領に“健闘”の2文字は似合わないが、トランプ氏が米主要メディアの事前予想を覆す粘り腰をみせ、今度は一転して勝敗のカギを握るスイングステートで相次いで勝ち名乗りを挙げる展開へと傾き始めた。
集計の遅れる郵便投票では断然バイデン氏が優位とみられているため、いったんはトランプ氏が得票数で先行しても後で逆転される“レッドミラージュ(赤い蜃気楼)”が起こりやすい。とはいえ負けても接戦となった場合、そこにトランプ陣営も焦点を当てて法廷闘争に持ち込むというケースが考えられ、これが今回の大統領選で最も警戒される“カオス”であったわけだ。一度は消えたかに見えたトランプ再選のシナリオもにわかに意識され始めたことで、後場はどうなるかにマーケット関係者の間でも緊張が走った。
ところが、サイコロは妙な方向に転がり始める。バイデン勝利→ブルーウェーブのシナリオが霧消してしまうとなれば、後場寄りの株式市場は本来なら株価に逆方向のベクトルが働くところだ。しかし、日経平均は一気に上げ幅を拡大させ、一時500円超の上昇をみせた。左派のマスコミがどのような報道をしようとも、マーケットは本音の部分で、暴れん坊将軍のトランプ氏を望んでいるということをくしくも証明した格好となった。
都市部はバイデン氏が下馬評通りの実力を発揮したが、田舎ではトランプ氏を支持する層が圧倒的に多い。これが今の米国だ。そしてスイングステートでも最大の要衝となっていたフロリダ州をトランプ氏が制したとの観測が、トランプ再選を確信させる勝どきとなった。トランプ氏が負けても接戦に持ち込み、法廷闘争に舞台を移すという選択肢が、皮肉なことに自身の完勝で“蜃気楼”と消えそうだ。少なくともトランプ再選は日本にとっては福音といってよいだろう。
あすのスケジュールでは、国内に目立ったイベントはないが、海外ではFOMCの結果発表とパウエルFRB議長の記者会見に注目が集まる。また、9月のユーロ圏小売売上高や9月の独製造業新規受注なども発表される見通し。国内企業の決算発表では任天堂<7974>、三菱商事<8058>、三井不動産<8801>などが予定されている。(銀)