明日の株式相場に向けて=ブルーウェーブ消えてもブルトレンド健在
きょう(5日)の東京株式市場は引き続きリスク選好ムードのなか、日経平均株価が410円高の2万4105円と大幅高で3連騰。年初来高値というよりは18年10月初旬以来2年1カ月ぶりの高みに歩を進めた。米大統領選は稀にみる激戦となり、前日はまさに分単位で思惑が錯綜したが、ここに至ってバイデン氏の勝利が濃厚となった。ただ、トランプ氏側は法廷闘争に持ち込む構えを見せているためすんなりとは決まりそうにない。また、上院は共和党が制したもようでトリプルブルーの実現はならず、ねじれ議会となる公算が大きくなった。
半ば予想されたとはいえゴタゴタが続き、先行き不透明感は拭えない。大統領選前は皆が口を揃えていた“トリプルブルー株高”のシナリオも霧消した。そうしたなか株価だけはスルスルと間隙を縫って上値を追う形となり、日経平均は週明け2日から文化の日を挟んだ3営業日で1100円強も水準を切り上げた。大統領選の結果が判明せず禍根を残すこのタイミングで2万4000円大台ラインを突破するというのは、想定としてかなりレアケースといってよいはずだが、これは日本株に限ったことではない。欧米そしてアジアすべてがリスクオンの波に乗っていた。ブルーウェーブは発生しなかったが、気がつけば世界的なブルトレンドが訪れていた。
つまり「大統領選を通過すれば、どちらが勝っても霧が晴れるから買い」という当たり前の理屈ではなく、何があろうとも11月3日前後には事前に積み上げた売りポジションの解消により株価は一斉高に向かうというシナリオが正しかったことになる。もっとも前週時点でこれを指摘する声はほとんど聞かれなかった。
もちろん週明け2日の時点で買いポジションを低くして待つのは当然であり、それは投資スタンスとして間違ってはいない。参戦するしないは別として、手元のキャッシュが潤沢であれば4日以降はナスダック先物の動きを見ながらマザース市場のリバウンドに乗ることも可能だったことになる。
市場では、今になって「上院を共和党が押さえれば、ねじれ議会によって民主党主導の政策(大型財政出動後の法人増税、証券課税強化、ハイテク大手への規制強化)が通りにくくなるから、株式市場にはむしろ好材料」などというコメントが聞かれる。恐るべき変わり身の早さだが、この際苦しいこじ付けは必要ないだろう。本当のところは過剰流動性、いわゆるジャブジャブの資金が神輿のように相場を担ぎ上げている。それが今の株高の本質ということになる。
あすのスケジュールでは、9月の家計調査、9月の毎月勤労統計(速報)など。海外では10月の米雇用統計のほか、9月の米消費者信用残高。また、9月の独鉱工業生産指数も発表される。(銀)
最終更新日:2020年11月05日 17時12分