【杉村富生の短期相場観測】 ─ 10年間に、9.6兆ドルの財政出動!
「10年間に、9.6兆ドルの財政出動!」
●バイデン大統領の登場は世界を変える!
2020年のビッグイベント(アメリカ大統領選挙)を越え、世界は新しい時代に入ろうとしている。21年1月20日には、ジョー・バイデン氏が第46代大統領に就任するだろう。そうなれば、最高齢での大統領誕生だ。アメリカの政策は外交、通商、内政などあらゆる面において、トランプ政権とは激変すると思われる。
一方、足もとの株式市場は抜群に強い。NYダウは連日、大幅高を演じている。5日の日経平均株価は一気に2万4000円台に乗せ、新高値だ。「大統領選挙前後はイベントリスクを避けるために、気迷い感が強まる」と考えていたが、実際は“真逆”の展開である。
おそらく、ヘッジファンドなどは10月の決算前に、早めに手仕舞ったのだろう。さらに、日本市場ではNTT <9432> によるNTTドコモ <9437> のTOB(約4兆円の資金がマーケットに放出される)を巡って、ポートフォリオの再構築が行われている、と思われる。
だから、大型株主導(日経平均を押し上げ)の相場になっているのだろう。ただ、為替が1ドル=103円台の円高に振れているのは気掛かりだ。バイデン氏は10年間に9.6兆ドル(約1000兆円)の財政出動を公約している。その財源は景気回復→税収増、大企業と富裕層に対する増税だ。しかし、とてもすべてを賄えないだろう。
当然、国債増発→ドル安という構図だ。とはいえ、トリプルブルー(大統領、上院、下院を民主党が制する)とはならず、上院は共和党が過半数を維持できたようだ。この結果、民主党の大盤振る舞いに歯止めがかかるとともに、極度の左傾化が防げる状況となる。
●テーマを絞り込み、個別銘柄対応を!
NY市場の大幅続伸はその点を評価している。仮に、トリプルブルーが実現した場合、ウォール街への締め付けは強化されるだろうし、巨大IT企業の分割論が再燃する。中国はそれを望んでいるが、上院(共和党)がその防波堤になろう。
物色面はどうか。筆者はテーマを絞り込んでの個別物色が有効と主張している。まず、ソフトバンク <9434> 、KDDI <9433> が5G(次世代通信規格)関連投資を今後10年間に、計4兆円行う。NTTグループは追随するだろう。アンリツ <6754> 、ネットワンシステムズ <7518> 、リバーエレテック <6666> [JQ]なども潤う。
JTOWER <4485> [東証M]、アルチザネットワークス <6778> [東証2]などは長期間にわたってメリットを受ける。これらの銘柄は揃って好業績だ。ロングランに狙える。5Gとは違うが、衛星通信(19機を保有)のスカパーJSATホールディングス <9412> は利益成長期を迎えつつある。
DX(デジタルトランスフォーメーション)関連では企業のDXを一手に支えるSun Asterisk <4053> [東証M]が面白い。株価は動兆しきりだ。ベトナム人など1300人のIT技術者(現地雇用)を抱えている。将来性は「良」といえる。
このほか、経営陣(大株主)が変わり、業態変貌の夢が膨らむメガネスーパーのビジョナリーホールディングス <9263> [JQ]、マンション分譲のプロパスト <3236> [JQ]は21年相場での活躍が期待できる。
2020年11月6日 記
株探ニュース