明日の株式相場に向けて=新波動、買い戻し強制でリスクオン加速

市況
2020年11月9日 17時06分

週明け9日の東京株式市場は大きく買い優勢に傾き、日経平均株価が514円高の2万4839円と大幅高で5日続伸。後場になって上げ足を加速し、一時は600円を超える上昇で一気に2万5000円大台乗せも意識させる局面があった。その後はさすがにやや緩んだものの、きょうの高値まで5営業合計の上昇幅は2000円近くに達した。

前週末に日経平均はアベノミクス相場の天井を突き破る形となり、29年ぶりの高値圏に浮上、実質的な青空圏に突入したといっても過言ではない。米大統領選はトランプVSバイデンでデッドヒートを演じたが、バイデン氏の勝利がほぼ決まり、既に世界も民主党新政権を前提に動き出した感がある。トランプ米大統領は法廷闘争も辞さない構えを示しているが、今の状況は外堀を埋められた状態にあり、来年1月20日以降も大統領の椅子に座り続ける可能性は極めて低くなった。

振り返って株式市場にとって、トランプ大統領の4年間は決して悪いものではなかった。というよりは、世界の目をはばかることなく米国第一主義をあからさまに打ち出す異形の宰相であったからこその米株高であり、FRBへの金融緩和要請圧力も強烈で、パウエルFRB議長のハト派傾斜もトランプ氏の影響力が大きかった。そしてその恩恵は世界に広がった。ダークヒーロー的なキャラクターだったが、マーケットに残した功績は大きかったといえる。新型コロナウイルスの感染拡大が本当に自然発生的なものであったのかどうかは置くとして、これがなければ、大統領選で勝利する公算は大きかったかもしれない。中国にとっては幸運だった。

ただ、いずれにしても足もとの株価はリスクオンが加速する格好となっている。FRBやECBが金融緩和の弊害を認識し、テーパリングを示唆しない限りは過剰流動性を背景とした株式市場への資金流入は続く。財政出動の動きも遅かれ早かれ実現に近づくことで、当面は株高賛成の流れが続きそうだ。株式市場がバイデン新大統領を、諸手を挙げて歓迎するという感じの株高ではない。あくまで米大統領選終了という時間軸の問題であって、またもや売り方による踏み上げの色彩が強い地合いとなった。

きょうのマーケットで話題となっていたのは某証券会社の手口で、「日経平均2万4500円のオプション売りが積み上がっており、そのショートカバーが上げ足を加速させた。おそらくヘッジファンドからの注文であろうが、そこを狙われた」(市場関係者)というもの。最終盤に日経平均がややダレたのは買い戻しによる浮揚力が一巡したということのようだ。

個別株は、バイデン新政権を意識して分かりやすく再生可能エネルギーの周辺株に投資マネーがなだれ込んだ。電気自動車(EV)関連なども改めて注目されるタイミングにあり、その本命は日本電産<6594>ということになるのであろうが、このほか2次電池メーカーや電池素材を手掛ける企業に物色の矛先が向かう可能性がある。

あすのスケジュールでは、10月の景気ウォッチャー調査、9月の国際収支など。海外では10月の中国消費者物価指数(CPI)、10月の中国卸売物価指数(PPI)、11月のZEW独景気予測指数、米10年債入札など。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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